投開票日の翌朝、街頭で通行者にあいさつをする中村哲治氏(左)と原口一博衆院議員=11日午前8時すぎ、佐賀市

■民進 次回、中村氏で再戦も/共産 衆院選も共闘目指す

 まるで3年後に向けた出陣式のようだった。10日午後8時半、テレビで落選が伝えられた中村哲治氏(44)は高く手を振り、笑顔で事務所に現れた。「皆さんのお許しがいただければ、これからも佐賀で政治活動を続けたい」。マイクを握った民進党佐賀県連最高顧問の原口一博衆院議員は支援者に感謝を述べた後、こう締めくくった。「彼を絶対に国会に戻そう。参議院のバッジが付くまで全力で支えていく」

■人材不足深刻

 相手は現職の若き内閣副大臣、福岡資麿氏(43)。民進県連は「勝てる候補」と表向き強弁したが、「勝負は3年後」と本音を漏らす関係者もいた。

 県連が注視したのが中村氏の能力と人物の見極め。政策通だが、難しい男。それが国会での中村氏の評判だった。奈良で県連会長まで務めながら消費税増税などに反対し、民主党(当時)を離党した。

 選挙を終え、県連内から批判は聞こえない。能力は前評判通りで「3年後も一緒に戦いたいという空気がある」。前回から大幅増の12万票近く獲得したことで「合格点はクリアした」という声が大勢を占める。「最大の敗因は擁立の遅れ。責任を中村氏に押し付けることはできない」

 ただ、得票率31・3%は民進公認が立った1人区では群馬に次ぐワースト2。「曲がりなりにも2人も衆院議員がいたのに、この数字は厳しい」と陣営関係者。「『これから佐賀の声を聞く人に負けるわけにはいかない』という福岡氏の攻撃はかなり効いた」。県連として初の落下傘候補の難しさを痛感する。

 候補擁立の遅れに加え、参院選で如実に表れたのが原口、大串博志の両衆院議員の後援会頼みという深刻な人材不足。数少ない地方議員が本来やるべき票集めではなく、電話受けや選挙カーなど選挙を回すスタッフ側に入らざるを得なかった。一向に改善されない「基盤拡大」という課題が、今回も重くのしかかった。

■終始いら立ち

 党本部主導の野党共闘に対し、「共闘はしない」と一線を画す姿勢を貫いた佐賀県連。安倍政権と対峙(たいじ)しながら、後ろから共産に非自民の受け皿としての存在感を奪われ、保守系支持者が逃げていく。終始、そんないら立ちを募らせていた。

 出口調査では共産支持層の73%が中村氏に投票したと回答した。「一定の効果はあったが、自民にとっての公明のような存在に共産をするわけにはいかない」と県連関係者は語る。

 一方、共産県委員会は小選挙区に候補を擁立しなくとも、比例で基礎票の2万票以上を着実に獲得し、全国的には改選議席を倍増した。今田真人委員長は「スタートとしては評価できる。捨て身になって一石を投じた。衆院選も共闘へ向けて協議したい」と次を見据える。

 共闘を組んだ社民は改選2議席を一つ減らし、党首が落選した。徳光清孝県連幹事長は「比例の得票率が上向いたのが救い」と語るのが精いっぱいだった。

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