国鉄が分割・民営化し、JR7社が発足してから1日で30年を迎えた。民営化で経営の自由度が高まり、積極的な投資や技術開発が進んだ。サービス向上や多角化を進めて収益を伸ばした結果、本州3社と九州は完全民営化を果たした。一方で尼崎脱線など大きな事故も絶えず、安全をどう守るかは重い課題。赤字ローカル線の存続など、解決すべき問題も多い。

 発足30年を前に、北海道を除くJR各社の社長は共同通信のインタビューに応じた。JR東日本の冨田哲郎社長は「サービスをレベルアップして、鉄道を見直してもらえた」と評価した。

 各社は新型車両の導入や列車の増発を進めたほか、JR東日本の「Suica(スイカ)」をはじめとするICカードの普及が進んだ。

 JR東海の柘植康英社長は「日本経済の強さに支えてもらい新幹線の可能性を最大限引き出すことができた。在来線も利用者が増え、経営基盤が強くなった」と話した。

 JR貨物も黒字化の見通しが立った。田村修二社長は「国鉄で赤字の元凶の一つとされていた貨物が役割を果たしたことは評価できる」とした。

 一方、人口減や高速道路網発達の影響を受け、赤字が続く路線は少なくない。JR四国の半井真司社長は「鉄道のネットワークをどうするのかが課題」と話した。ローカル線の維持は、JR北海道でも大きな懸案だ。

 民営化後、各社は不動産や流通など関連事業にも力を入れた。JR九州の青柳俊彦社長は「鉄道だけでは食べていけないことは分かっており、関連事業に本気で取り組んできた」と振り返った。

 乗客106人が死亡した2005年の尼崎脱線事故で、JR西日本は企業体質が「利益優先」と批判された。JR西の来島達夫社長は「お客さまにダメージを与え、事業基盤を損なうほどの反省点を残した」とし、事故後に取り組んできた安全対策に「磨きをかける」と強調した。【共同】

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