何十年とたまった水路を掘り起こす

■先人の遺産を未来へ

 佐賀平野の麦秋が刈り取られ、稲の苗代づくりが始まる頃、三瀬村の田植えはほぼ終わっている。冷涼な山間部ではあるが、つい先日の早朝の温度計が8度を差していたのには目を疑った。

 嘉瀬川の源流を戴(いただ)く三瀬村の豊富な水の流れを利用して、集落が主体となった小水力発電の実現がいよいよ近づいてきた。発案・検討から2年以上の紆余(うよ)曲折の歳月を経て、地域の特性に合った再生可能エネルギーへのチャレンジだ。先人が遺(のこ)してくれた同じく水力装置の水路や小屋を再活用して、それを未来の集落へ繋(つな)いでいく仕事に地域住民自らが携わっていく。技術をリードしてくれる九州大学と共に、出来ることは自分たちでしていく作業をほぼ月1回積み重ねてきた。

 この事業で地域がどのようになれるかはまだこれからだ。それでもただ一つ確かなことは、先人から継いで未来を作ろうとする今の仕事そのものこそが地域を元気にしているように思えることだ。(小野寺睦・養鶏農家)

このエントリーをはてなブックマークに追加