道端に散らばったブロック塀の破片など拾い集め、軽トラックに積み込むボランティア=6月26日、熊本県西原村

 熊本地震の発生から3カ月。6月中旬には記録的な大雨に見舞われ、地震で地盤が緩んでいた熊本県では土砂崩れに巻き込まれるなどして6人が死亡した。復旧・復興の取り組みは長期になる。支援を継続する一方で、それぞれの地域や家庭でも防災・減災の意識を高めて備えを強化したい。

 被災地NGO協働センター(兵庫県神戸市)が6月26日に実施した佐賀発の「ボランティアバスツアー」に、佐賀新聞の記者も参加して取材した。熊本県西原村で復旧作業を手伝った記者は「田んぼの亀裂に雨が入り、いくつも穴が空いていた。被災した家屋も解体、撤去作業が進んでいない」と現状を話していた。

 西原村では、住民の多くが避難所や親戚の家に身を寄せ、のり面が崩壊したままの道路もある。農家は今年の田植えを諦め、生活再建の見通しは立っていない。「かなり復旧しているだろう」。余震の減少とともに、そんな思いになっていたが、厳しい状況が続いていることを改めて知らされる。

 熊本県が復旧・復興に向けて設置した有識者会議は「創造的な復興」を基本理念とした20項目の最終提言をまとめた。単に被災前の状態に戻すのではなく、より良く再建するという視点は大切だ。これからの地域づくりを考えたグランドデザインを描いてほしい。

 熊本県は、この提言を基に計画を策定する。その中で、「創造的な復興」の理念をどう具体化するか。財源や人材など、さまざまな課題があるだろうが、災害復旧・復興のモデルとなるような事業を期待したい。

 直下型地震の怖さを示した熊本地震、その復旧も進まない中で発生した豪雨被害。自然災害は時も場所も選ばずに押し寄せ、日常の暮らしを大きく揺るがす。私たちにできるのは被災地への思いを持ち続けながら、人ごととせずに防災・減災対策を強化していくことだろう。

 熊本地震を受け、共同通信が実施したアンケートでは災害対策の基本方針を定めた地域防災計画について、佐賀県を含む33道府県が「見直す」「見直しを検討」と回答した。見直しの優先課題には「支援物資の円滑な配布など避難所の運営」、防災拠点となる「公共施設の耐震強化」、エコノミークラス症候群を引き起こす恐れがある「車中泊への対応」などを挙げている。熊本地震を踏まえ、より実効性のある防災計画に練り直したい。

 行政だけでなく、地域や家庭でも避難所や防災グッズの確認、自宅の耐震化など、できることがある。社会基盤に関わる業界、支援活動に取り組む民間団体などを含め、それぞれの場で点検し、緊急時に機能する備えを整えていきたい。(大隈知彦)

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