九州北部の豪雨で決壊した福岡県朝倉市の農業用ため池を巡り、県が事前の点検で「豪雨で被害が出る危険性は低い」と評価していたことが25日、分かった。県は「過去の災害を踏まえた国の基準は満たしていたが、想定外の大雨に対応できなかった」と説明。専門家は基準見直しの必要性を指摘している。

 県によると、決壊したのは筑後川の支流にあり、農業用水確保が目的の「山の神ため池」(貯水量約7万立方メートル)。より下流にあり集落に近い「鎌塚ため池」(同約9万9千立方メートル)も堤防の一部が崩壊した。ため池がある地区では3人が犠牲になるなど、大きな被害が出ている。

 農林水産省によると、2011年の東日本大震災を受け、13~15年度に全国のため池約9万6千カ所で一斉点検を実施した。地震や雨で決壊などの被害が出る危険がないか、各都道府県の職員らが調べた。

 福岡県は豪雨に対する安全性を3段階で評価する上で、今回の二つのため池を最も安全な「詳細な調査をする緊急性は低い」と結論付けた。漏水や浸食がなく、水位の急上昇を防ぐ排水設備が整えられた点が国の基準をクリアしたという。

 豪雨災害の分析を進めている九州大の矢野真一郎教授(河川工学)は、流木が排水設備に詰まり、水があふれて堤防を削ったのが決壊の要因と推測。「今回ほど大量の流木に対応できる設計ではなかったとみられる。こうしたケースを踏まえ、基準が十分か議論しなければならない」と指摘する。【共同】

■佐賀の緊急消防援助隊活動終了

 九州北部豪雨を受け、佐賀県内の五つの消防本部で組織した「緊急消防援助隊」は25日、被災地での活動を終えて佐賀に戻った。

 援助隊には計58人が参加し、豪雨が発生した5日から21日間、福岡県朝倉市や大分県日田市で活動した。主に行方不明者の捜索や被災者の救急搬送を担った。

 福岡県内の大分自動車道パーキングエリアであった解隊式には山口祥義知事が出席し、ねぎらいの言葉を掛けた。

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