ツイッターの画面。友人づくりを優先するため閲覧を制限しない若者は多く、不用意な投稿が危険と隣り合わせという意識は乏しいという(本文とは関係ありません)

■流出情報の削除困難 投稿は公開範囲限定を

 高校生の9割が所有しているといわれるスマートフォン。LINEやツイッターなど会員制交流サイト(SNS)の利用者が増える一方、投稿をきっかけに中傷されたり個人情報が拡散したりして「炎上」するケースが絶えない。進学のシーズンを控え、保護者からは「スマホを買い与えてもいいのか」「トラブルにならない使い方は」という声も漏れる。SNSを使う上で、どういう注意が必要だろう。

 総務省の情報通信メディアに関する調査(2015年)によると、スマホを所有する10代の9割がフェイスブックやLINEなどソーシャルメディアを利用している。特に短文投稿サイト「ツイッター」は10代に人気で、利用率は3年前から40ポイント伸びて63・3%。全世代の中でも最も高い。

 10年ほど前、学校裏サイトへの書き込みが問題になったが、閲覧は容易で、第三者が異変に気づくこともできた。友人や知人同士でつながるSNSが主流になってからはトラブルに発展しても潜在化しやすく、教育現場でも把握しづらい。

 情報モラルの啓発活動に取り組むNPO法人「ITサポートさが」には、年間に約200件のネットトラブルに関する相談がある。3割はSNSが絡む問題だ。特に多いのは、SNSで知り合った男性に送った画像を消したいという女子からの相談。しかし、いったん相手の手元に渡った画像が完全に消去されたか、確認することは難しい。

 「生まれたときからネット環境が身近にある世代は、ネットとリアルな世界の線引きがあいまい。書き込みも、友人とか知人とか特定の人物しか見ていないと思っていて、拡散するとは考えていない」。ITサポートさが事務局長の浴本信子さんはこう指摘する。

 春の入学シーズンを前に増えるのが、進学先の友人を早めにつくる目的で、閲覧を制限せずにツイッターで「○○高校に入学します」と投稿するケース。自身のLINEのQRコードを画像付きで投稿する事例が目立ち、顔や名前が不特定多数に知られかねない状況もあるという。

 個人情報がひとたびネットに流れれば、削除したくてもなかなか消せない。そうした状況があるにも関わらず、危険と隣り合わせという認識が乏しい生徒は少なくないといい、県内のある高校教諭はぼやく。「指導をしても自分の身に置き換えて考えているだろうか。『これぐらいはいいだろう』という気持ちで、不用意に投稿をしている」

 佐賀県内では昨年末、高校生男子がアナグマの死骸をツイッターに投稿して炎上し、学校に苦情が殺到する事態になった。生徒の家族はアナグマに畑を荒らされる被害に遭っていた。生徒は、家族に駆除したことを知らせるために撮っていた写真を、アナグマを見たという友人の書き込みに反応して投稿した。公開範囲を限定していなかったため、多くの人が投稿を知る状況になった。

 ネット上の炎上を研究する慶應義塾大学大学院政策メディア研究科の田代光輝特任准教授は「居住地域によっては見ることがない動物の死骸の写真が注目を集めた」と、居住地域の価値観の違いが炎上につながったと分析する。「ネット上では『これは害獣で、生徒は悪くない』という意見も多かった」と指摘しつつ、「私的な情報でも価値観が異なる人へ意図せずに届いてしまうと、反発やトラブルなどマイナスに働くことがある。今回は、動物愛護に関心のある人が多く目にしたため反応が激しくなった」とみている。

 書き込みを巡るトラブルを防ぐにはどういう手だてが必要だろうか。田代氏は価値観が異なる人が目にする状況も念頭に置いて「友人や知人以外に見られないように公開範囲を限定するのが基本」と強調する。

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