ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の柴戸隆成社長と長崎県地盤の十八銀行の森拓二郎頭取は25日、福岡市で共同記者会見を開き、10月を目標とした経営統合に関し、時期を未定とし再延期すると正式発表した。公正取引委員会による統合審査が難航しているためで、統合協議の長期化は必至だ。柴戸社長は「全ての関係者が納得できる統合を実現するため議論を尽くす」と強調した。【共同】

 森頭取も「何としても統合を成し遂げたい」とし、FFGと共に公取委と協議を続けていく考えを示した。

 統合計画では、経営統合の1年後の2018年10月にFFG傘下の親和銀行(佐世保市)と十八銀が合併する予定だった。長崎県の有力行同士が合併する先進例となるとして注目が集まっていた。実現の時期が見通せなくなったことで、各地の地銀の再編戦略にも影響を及ぼしそうだ。

 統合すれば長崎県内の貸出金シェアが約7割となり金利が高止まりするとの公取委の懸念に対し、柴戸社長は「統合による効率化効果に加え、競争環境が維持されるため、貸出金利は上昇しない」などと反論した。

 その上で、統合後に長崎県の中小企業向け貸出金利の推移を公開することや、顧客サービスの質をチェックする第三者委員会の設置を検討していると公表。今後、公取委に説明し、統合への理解を得たいとした。

 FFGと十八銀は当初、今年4月の統合を目指していた。公取委の審査が長引き、統合時期を1月に半年間延期。長崎県の貸出金シェアを引き下げるため、他行への債権譲渡を検討しているが、額などを巡り公取委との溝が埋まっていない。

■長崎でシェア7割…公取委懸念

債権+20店超譲渡…銀行側難色 溝深く統合破談も

 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と長崎県地盤の十八銀行の経営統合が、公正取引委員会の承認を得られず暗礁に乗り上げている。長崎県内での貸出金シェアを引き下げるための他行への債権譲渡の規模を巡って銀行側と公取委の隔たりは大きく、統合実現には銀行側の大幅譲歩が必要となりそうだ。逆にこのまま溝が埋まらなければ、統合破談の可能性もある。

 現行計画はFFG傘下の親和銀行(佐世保市)と十八銀が合併する予定で、長崎県内の貸出金シェアは約7割。銀行側はシェア引き下げのため1千億円弱を譲渡可能額として伝えたとみられ、公取委がこの水準で認めれば統合は実現する。ただ公取委幹部は「消費者の利益を害するような企業統合は認めない」との立場で、歩み寄りは考えにくい。

 公取委は健全な競争環境を保つため2千億円超の債権譲渡が必要との認識とされ、店舗20超の他行への譲渡も求めているもようだ。この条件を受け入れれば統合実現の可能性が一気に高まる。

 しかし、十八銀幹部は「顧客にも迷惑がかかり、考えられない」と店舗譲渡には否定的だ。大規模な債権譲渡も、貸し出しで金利収入を得るための収益機会を自ら手放すことになる。統合する利点すら失われかねず、FFGや十八銀の幹部は強い難色を示す。

 お互いに歩み寄りがない場合は、公取委の承認がいつまでも下りない長期戦となる。FFG幹部は「時間がかかっても統合を実現したい」と意気込みを示すが、その場合は次の展開が描けず、新たな地銀再編の波に乗り遅れるという新たなリスクを背負う。

 関係者からは「交渉が長期化するほど経営体力をそがれ、行員の士気の維持も難しくなる」との声も漏れ始めた。FFGと十八銀の歩調が乱れ思い描く将来展望に違いが出てくれば、統合計画の破談が現実味を帯びる。

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