政府は30日、未来投資会議を開き「健康」「移動革命」など五つを戦略分野とする新たな成長戦略の素案を示した。先端技術による新サービスを開拓する企業を対象に、規制を一時凍結して迅速な実証試験を可能とする制度を導入。全国10カ所以上の公道で無人走行バスの自動運転実験を実施する。ITを使った遠隔診療や介護ロボットの活用を、年末に予定する診療・介護報酬改定で後押しする方針も掲げた。

 6月9日に閣議決定する予定。企業の生産性を高め、成長を阻害している人手不足の緩和を目指す。安全面を確保しつつ着実に新産業を育成できるかが課題となる。

 安倍晋三首相はこの日の会合で「新たな技術をあらゆる産業や生活に取り入れ、社会課題を解決する」と強調した。

 素早い実証試験を実現する新制度は「サンドボックス(砂場)制度」と呼ばれる。子どもが砂場で遊ぶように、規制に縛られず自由な発想で試行錯誤してもらい、課題を整理した上で規制緩和の全国展開に生かす。

 国家戦略特区での一部導入に向け、今国会で関連法案の審議を進めている。今回は新たに、企業から申請のあった実証事業について、参加者や期間などを限定した上で特区に限らず規制を適用除外する仕組みを打ち出した。来年の通常国会への関連法案提出を目指す。

 自動走行車はサンドボックス制度も活用して開発を加速。高速道路でのトラックの隊列走行を2022年に商業化する。無人走行のバスやタクシーは「道の駅」などを10カ所以上選び、17年度から実験を開始し住民の買い物や通院に役立てる。

 小型無人機ドローンも18年に山間部で荷物を配送し、20年代には都市部の配送を本格化させるため、技術開発を進める。

 医療や介護では、先進技術を取り入れて国民の健康を改善するとともに、社会保障サービスを効率化する。人工知能(AI)を使った診療支援を診療報酬の評価に反映させる方針も示した。

 学校の夏休みなどの一部を地域ごとに春や秋に分散して設定する「キッズウイーク」を18年度に導入する。古民家を宿泊施設などへ改修する取り組みも後押しして観光業をもり立てる。【共同】

■用語解説 成長戦略

 持続的な経済成長を実現するための施策や目標をまとめた政府の戦略。予算措置や税制、規制緩和といった政策手法がある。安倍政権は、大胆な金融緩和や機動的な財政出動に続くアベノミクスの「第3の矢」として2013年に発表して以後、毎年夏に改定してきた。今年の戦略は、首相が議長を務め主要閣僚や企業経営者、大学関係者らがメンバーとなる「未来投資会議」で議論を進めてきた。

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