首相官邸で開かれた未来投資会議=30日午後

 政府は新たな成長戦略で、移動、健康、金融サービス、サプライチェーン(調達・供給網)、インフラの五つを戦略分野に定め、人工知能(AI)やロボットといった次世代技術を活用する方針を打ち出した。日本が直面する人手不足や高齢化などの課題解決と経済成長の一挙両得を狙う。

 人口減少への対応策として大きな鍵を握るのが第1の戦略分野である「移動革命」だ。インターネット通販の拡大で荷物が急増し、物流業界は深刻な人手不足に陥りサービスの抑制や過重労働など問題が多発している。成長戦略では自動運転技術を使い、高速道路で1人のドライバーが運転する車両が後続の複数の無人運転車をけん引するトラックの隊列走行に言及。2022年に商業化することを目標に掲げた。

 小型無人機ドローンによる荷物配送を18年に山間部、20年代に都市でそれぞれ本格化させる。

 鉄道や路線バスが廃線となった地域に住むお年寄りらの「生活の足」にも無人自動走行サービスを生かす。20年の実現を目指し、17年度から道の駅など全国10カ所以上の公道で実証を始める。

■遠隔診療

 団塊の世代が全て75歳以上になる「2025年問題」を見据え、「健康寿命の延伸」を日本の未来図の中心に描く。市街地から離れた地域に暮らしていても、かかりつけ医の診療を無理なく受けられるよう、テレビ電話やパソコンを使った遠隔診療を後押しし、介護現場へのロボット導入も促す。医師による診療や介護のケアプラン作成にもAIを取り入れていく。

 現在はばらばらになっている患者の健診情報や治療、介護の記録を一元的に把握できる仕組みをつくり、本人の同意の下で医師が診療時に参照できるようにする。17年度に実証を始める。

■中小にIT

 残る3分野ではITを駆使し次世代型のサービスや技術を切り開く。先進的な金融サービス「フィンテック」では、買い物で現金を使わずにカードやスマートフォンで決済する比率を、今後10年で倍増し4割程度に引き上げる数値目標を明記した。特に、中小企業が送金や経理業務の大幅な効率化ができる利点を生かせるよう、普及に力を入れる方針だ。

 「サプライチェーンの次世代化」では、17年度末までに1万社以上の中小企業の製造現場に専門家が出向き、安い費用でITやロボットが導入できる方法をアドバイスする。原材料の仕入れ先や製造納入先とのデータ連携も進めることで、生産性向上につなげる。

 「インフラ」の分野では道路やダムなどの維持管理にITやロボット、センサーをフル活用し生産性を25年度までに2割上げる。

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