米国への入国審査がこんなに厳しいとは思わなかった。昨秋、大統領選の取材で米国のビザ(査証)が必要となり、求められた分厚い書類の提出と、面接のために東京の米国大使館までわざわざ出向かなければならなかった◆窓口はごった返しており、手荷物は持ち込めず、5本の指の指紋をとられる。「何しにいくのか」「滞在先はどこか」と質問がくる。結構待たされたが、外見から中東系とおぼしき人は窓口でさらに時間がかかっていた。テロの脅威にさらされている超大国の緊張感を肌で感じた次第である◆その米国でトランプ大統領が難民や中東など7カ国の市民の一部の入国禁止令を出した。ビザがあるにもかかわらず、空港で米国への渡航を阻まれる人が続出する騒ぎになっている。事前審査で国として入国を了解したからこそ、ビザを発給したのだろうに◆世界中で非難の声が上がっているのは当然だ。米国の一部の州では大統領令が違憲だと提訴に踏み切ったのも理解できる。しかしトランプ氏は意に介さず、入国禁止を反対した司法省トップを解任する始末。浅慮もはなはだしい◆自由と平等、多様性があってこそ活力を生んできた「偉大な国」はどこへ行くのだろう。かえって中東の人々の怒りに火をつけ、テロの危険が増すことになりはしないかと案じられてならない。(章)

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