イソップ物語にこんな話がある。貧しい男が病気になり、容体が芳しくない。神々に「私をお救いくだされば100頭の牛を捧(ささ)げます」と約束した。神々は男を試そうと考え、治してやる。男は無論、牛など持ってないので、「ねり粉」で牛を100個こしらえ「神様がた、約束のものをお受けください」と言って祭壇で燃やした◆神々は、今度はこっちがだましてやろうと、男に夢を見させ、夢の中で「海岸へ行け。お前は大金を見るだろう」と告げる。男は大喜びで海岸へ行くと、海賊に捕まり目の前で大金を積まれ、奴隷として売り飛ばされる。確かに大金を見るには見たが、手痛い目に遭ったわけだ◆嘘(うそ)を戒める話なのだが、嘘つきは古今東西いるもので、舞台は日本の政治の世界である。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設に関する文書について、文部科学省の前事務次官が存在を明言。政府は一貫して怪文書扱い。どちらかが嘘をついている◆国民の目にはどう映っているだろう。顔を晒(さら)して会見した前次官と、頑(かたく)なな政府。次々と表に出る新証言や事実。どちらの言い分が正しいのか、国会の証人喚問で質(ただ)すしかあるまい◆嘘の代償は大きい。イソップ物語は子どもに嘘はいけないことですよと教え、正直者への育ちを助ける。誰にこの本を贈ったら、改心してくれるだろうか。(章)

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