映画「白磁陶祖 李参平物語」の小川益王監督

■有田焼400年で15年ぶり再編集

 有田焼の礎を築いた陶祖・李参平の半生をテーマに15年前に制作された日韓合作映画「白神渡海」(小川益王(ますお)監督)が、有田焼400年を機に未公開シーンの追加など再編集し、「白磁陶祖 李参平物語」としてリニューアルされた。東京の憲政記念館で1日開幕する「第1回アジア国際映画祭」のオープニングで封切り。これまで上映されなかった参平の故郷・韓国でも、17日にソウルの同映画祭授賞式会場で初公開する。

 慰安婦少女像問題をめぐり日韓関係が悪化する中、小川監督(83)ら関係者は「作品は日韓友情の証し。文化交流の絆が深まってほしい」と願いを込める。

 作品は、豊臣秀吉による慶長の役の際に、参平が名工の父親の身代わりとなって朝鮮から日本にやむなく渡り、日本文化に触れながら有田で磁器を作るまでの道のりを描く。今回、倉庫に眠っていたデジタルフィルムに参平が名字帯刀を許される場面など未公開シーンがあり、3カ月かけて再編集した。25分長い2時間15分の長編となった。DVD化も決まった。

 「白神渡海」は2001年に西松浦郡有田町で町民ら500人規模のロケをするなど日韓で撮影し、02年に完成した。旧有田町長の篠原啓一郎氏(故人)や横尾俊彦多久市長のほか、韓国の初代科学技術長官で陶磁文化協会会長だった金基衡(キムムヒョン)氏(故人)らが脇役で出演、テーマ曲を歌手の原田真二さん、挿入歌を松田聖子さんが担当した。

 当時、有田町など日本各地で上映された。韓国でも上映される予定だったが、参平の日本渡来の表現について韓国政府の保守層が「『連れ帰る』でなく『拉致』に変えるべき」と難色を示し、長らくお蔵入りとなっていた。

 その後、小川監督が韓国政府の中立層に粘り強く作品の意義を訴え、超党派の日韓議員連盟も支援。昨年12月に李俊揆(イジュンギュ)駐日大使から「映画に感動した」との親書が監督に贈られるなど、韓国側の理解を得てようやく上映にこぎつけた。

 小川監督は「日韓は政治では冷え切っているが、文化を通じてこの作品で心を温め合いたい。佐賀のPRにもなる」と話す。有田町でも、李参平の功績をたたえる恒例の陶祖祭(5月4日)に合わせ上映会を開く予定だ。

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