昨年4月の熊本地震から間もなく1年を迎える。熊本地震は地震大国日本では大地震がいつ、どこで発生するか分からないことを改めて突きつけた。2011年の東日本大震災、1995年の阪神大震災と合わせて振り返り、これまでに得られた教訓を生かし、少子高齢化社会に応じた対策を考えたい。

 阪神大震災以降、被災地復興に関わる田村太郎・ダイバーシティ研究所代表理事がこのほど、鳥栖市で「災害に強いまちづくり」と題して講演した。この中で、急速に進む少子高齢化を踏まえ、高齢化率50%でも最初の1週間を乗り切れる「避難所力」を確立させておくことなどを提言した。

 田村氏によると、熊本地震で揺れの激しかった益城町では人口の1割以上が1カ月以上の避難生活を余儀なくされていた。熊本県の調査では避難者の約7割が車中泊を経験していた。「余震が続き、車が一番安全」との判断だが、車中泊によるエコノミークラス症候群の患者が続出したことは記憶に新しい。車中泊避難者への対策強化が浮き彫りになった。

 阪神大震災時と東日本大震災前年の日本の人口構成を比べると、わずか15年間で18歳は3割も減り、75歳以上は倍増している。震災直後にボランティアに駆けつけてくれる学生らが減る一方で、高齢者のみの世帯など支援を必要とする人たちが大幅に増えたことを示している。全国の地方公務員数も1割以上減少しており、消防団や地域住民による自主防災組織も弱体化しているとみられる。

 東日本大震災では人手不足のため、避難所にボランティア募集の張り紙があった。それまでの地震同様に熊本地震でも当初、支援物資が市町村の集積拠点に滞留し避難所に届かなかったことが報告されている。少子高齢化により災害時の対応力が確実に減退している今こそ、過去の震災経験を共有し生かすという取り組みが大切ではないか。

 避難所運営について、熊本地震では23市町村でマニュアルがなかった。あっても活用されなかった事例もあった。まずはマニュアルを策定し、それに基づいて訓練し、そのマニュアルで機能するのかどうか点検が必要だ。避難所に宿泊する訓練をすれば、埋もれた課題も見つけられるのではないか。支援物資は備蓄倉庫など拠点に集積させているケースが多いとみられる。しかし道路が被災した場合を想定し避難所ごとに分散保管する検討も必要だ。そして、私たち一人一人も非常食の準備など備えを強化しておきたい。

 田村氏は「自治体の避難所イメージは20~30年前の社会の姿が前提になっているケースが多い」と現状とのずれを指摘している。各自治体の震災時対応は万全か。検証を進めたい。(高井誠)

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