論点整理素案の説明の冒頭、あいさつする佐賀県の落合裕二政策部長(奥中央)=佐賀市の県有明海漁協本所

 佐賀県は31日、自衛隊の新型輸送機オスプレイの佐賀空港への配備計画に関する県の考えをまとめた論点整理素案を県有明海漁協に説明した。機体の安全性や排水によるノリ漁への影響など大半で防衛省の説明を追認した県への直接的な批判は少なかったが、漁業者側は諫早湾干拓事業をはじめとした国の公共事業への根強い不信感をあらわにし、計画に反対する意見が相次いだ。

 漁協の15地区の運営委員長と支所長が集まる会議に合わせて県の落合裕二政策部長らが佐賀市の漁協本所を訪れ、非公開で素案を説明した。

 出席者によると、会議では諫早湾干拓をはじめとした問題が解決しないまま、漁業者に新たな負担を押し付けようとする国の姿勢への批判が噴出した。計画の諾否に関しては県独自の判断時期を尋ねる質問もあり、県側は「判断する条件が整っていない。県としてただちに受け入れの検討はしていない」と答えた。

 終了後、落合政策部長は「国防に対する姿勢と論点に対するわれわれの考え方からすると、(計画に)前向きなんじゃないかとの意見もあった」と明かしながら、「漁業者の理解抜きに話は前に進まないと説明した」と強調した。

 防衛省が取得を目指す空港周辺の土地の地権者が所属する南川副支所の田中浩人運営委員長は「(自衛隊との共用を禁じた)公害防止協定を結んだ先人たちの思いを無視できない。受け入れはできないということが大前提」と主張し、県が受け入れの動きを見せた場合は「協定を無視したと捉える」とけん制した。

 南川副支所同様、4月の地権者説明会で反対の意思表示をした早津江支所の古川強運営委員長は「国が諫早湾問題や有明海再生をしっかりしてから説明をするべきだ」。大託間支所の担当者も「今までの説明と同じで何も進んだとは思わない」と述べ、反対の考えに変わりはないとした。

 徳永重昭組合長は「国の事業への不信感が根底にある。信頼関係がないと問題は進まない」と語った。計画の進展には漁協の理解が不可欠と繰り返す県に対しては、「何か動きがない限り、こちらから進んで意思決定しようという考えはない」との認識を改めて示した。

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