国交省の担当者による技術評価委員会の結果説明を受けた副島良彦副知事(右側中央)ら。説明を踏まえて県としての考えに変わりないことを強調する=19日、佐賀県庁

 「(19日の)国交省から説明で、次の提案があったわけでも、(開発が)困難になったなどの話もなかったので、先のことで主張すべきものはない」。

 JR九州の青柳俊彦社長がフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の「導入断念」を表明した25日、佐賀県の副島良彦副知事は、記者団を前に県として考え方に何ら変わりがないことを強調した。

■「会費」225億円

 関西直通による人の流入効果の担保、そして武雄温泉で在来線特急と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」での2022年度の暫定開業、肥前山口-武雄温泉間の複線化。副島副知事は県の主張はこの3点に集約されると繰り返した。

 「関西圏直通による経済効果などを期待し、その『会費』として225億円の地元負担をする」。古川康衆院議員(佐賀2区)は知事時代の07年、FGT前提の計画に同意した根拠をこう表現する。FGTは、関西圏直通の手段として225億円を負担する価値があるとの考えだ。裏を返せば、関西圏直通を担保し、巨額の負担に見合う手段ならば、FGT以外でも構わないということになる。「何が何でもFGT、とこだわっているわけではない」。県幹部が基本スタンスを解説する。

 ただ国が技術開発を断念していない以上、FGTに見切りをつけるという判断はできないという考えだ。断念を表明したJR九州に対して「『なぜ今なのか』という思いはある」。県幹部は釈然としない思いをにじませながらも「事業者が断念を表明しても、最終的には事業主体である国がどうするのかに尽きる」と国に説明責任を求めた。

■「先走り」けん制

 JR九州から代替策として全線フル規格化の言及があったことについては「現在の枠組みでは約800億円の負担が生じ、議論する環境にないと言い続けており、これは1ミリも動かない」。フル規格へ「先走り」の雰囲気が生まれてきている現状をけん制する。

 28日の与党PT検討委による意見聴取でも、佐賀県として3点の主張を中心に県の考えを説明する見通しだ。

 「下手にフル規格に言及して、財源問題でやぶ蛇になってはいけないと警戒しているのだろう」。ある自民党県議は首尾一貫した県の姿勢の真意を推し量る。その上で「同じ主張の繰り返しなら誰でもできる。状況が大きく変わろうとする中で、しっかりと戦略を持って対応しないと」と指摘。「今後は政治の場で流れが決まってくる。県関係国会議員と密に連携していくべき。後世の評価に耐えうる結果を残すためにも」。受け身ではなく、時に前に出る積極性が必要と訴えた。

 「関西直通などの前提が担保されていない状況に関して国の責任を問い、責任論をてこに佐賀にとって有利な条件での整備方針を議論すべきだろう」。別の自民党県議も「勝負時」の見極めを求める。

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