自衛隊が導入する新型輸送機オスプレイの佐賀空港への配備計画をめぐり、佐賀県が論点整理の素案を公表した。これまでの防衛省とのやりとりを踏まえて、その説明に「不合理な点がないことを確認した」としている。

 素案は「国防政策には協力する」と基本的な立場を明確にした上で、論点として挙げた20項目のうち、16項目で一定評価した。一方で、佐賀空港建設時に自衛隊との共用を否定する公害防止協定を県有明海漁協と結んだ経緯から、漁業者の理解が得られなければ受け入れは困難であると強調している。

 北朝鮮による脅威が現実味を増し、海洋進出の動きを強める中国の台頭もある。国防の重要性が増しているという現状認識は、県民にも広く共有されているだろう。それでも、国防なのだからと、計画の中身も見極めずに無条件で受け入れるわけにはいかない。

 そもそも、なぜ佐賀空港なのか。

 計画浮上から3年が過ぎたが、それでも県民の理解は進んでいない。佐賀新聞社が実施した県民100人アンケートでも配備計画の存在は知っていても、具体的な中身についてはよく知らないか、誤解しているケースが目立つ。

 基本中の基本であるはずのオスプレイ導入の目的でさえ、正確に答えられた人はいなかった。導入の目的は「佐世保に新設する水陸機動団の輸送」である。だが、直接は関係がない「沖縄の基地負担軽減」を挙げた人が3割近くを占めている。

 いかに議論の土台を作っていくか。県民向けに基本的な情報の発信が欠かせないだろう。

 今回の論点整理で大きな疑問が残るのは、将来の米軍利用に対する評価である。県は「佐賀空港が米軍基地化する、あるいは米軍が恒常的に佐賀空港を利用することはないものと考える」としている。防衛省の説明をそのまま信じるならば、そうだろう。

 だが、配備計画を振り返ってみれば、当初は自衛隊機にとどまらず、米軍オスプレイの利用まで含まれていたのも事実である。

 その後、地元の反発を懸念したのか、防衛省は米軍利用については取り下げた。だが、完全に断念したわけではなく、将来的な利用には依然として含みを残している。

 まずは自衛隊機の配備を実現させ、次の段階で米軍機の利用を想定していると考えるのが自然ではないか。自衛隊機の受け入れは、将来の米軍利用に道を開くと覚悟しておくべきだ。

 もうひとつ気がかりなのは、県民世論をどう受け止めるか、という点だ。漁業者の意見を尊重し、その考え方に寄り添うという姿勢はもちろん大切だが、影響を受けるのは漁業者だけではない。さまざまな形で県民への影響が想定される以上、県としてはできるだけ広く県民の声を受け止めてもらいたい。その上で、県民にとって最善の道は何か、自主的な判断が求められる。

 きょう1日から県は、ホームページに論点整理素案を公開し、県民から意見を募集する。オスプレイを受け入れるべきか否か。非常に重いテーマだ。私たち県民ひとりひとりが、未来のために判断しなくてはならない。(古賀史生)

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