【ワシントン共同】トランプ米政権でスティーブン・バノン首席戦略官兼上級顧問の発言力が増している。白人至上主義の論調で知られるメディアを率いたバノン氏は、国内外の非難を浴びるイスラム圏からの入国禁止を主導した“黒幕”とされる。国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに起用するなどトランプ大統領は全幅の信頼を置いており、その影響力は重要政策を左右する。【共同】

 差別的な論調を掲げる右派思想「オルト・ライト」の代表格とされたニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の会長を務めたバノン氏。大統領選では、選対本部の最高責任者に抜てきされ、「米国第一」主義を前面に出した。主要政党から軽視されてきたトランプ氏とは「既成政治を破壊する」の一点で意気投合したという。

 メキシコ国境への壁建設など大統領就任後にトランプ氏が連日放ってきた大統領令にはバノン氏が関与しており、イスラム圏7カ国からの入国禁止を決めた大統領令は自ら筆を入れたものだ。

 大統領令の執行を巡る混乱は、内容が事前に漏れるのを嫌ったバノン氏が関係省庁にも中身を伝えなかったのが原因とされる。政権内でも困惑の声が上がったが、トランプ氏の最側近であるバノン氏には異議を唱えにくい空気があるという。

 トランプ氏は、最高意思決定機関であるNSCの改革に関する大統領令にも署名。バノン氏を常任メンバーに加える一方、制服組トップの統合参謀本部議長や国家情報長官は非常任に“格下げ”した。オバマ前政権の大統領補佐官だったスーザン・ライス氏はツイッターで「完全に狂っている」と批判した。

 全てを敵と味方に分けるバノン氏の世界観が、トランプ氏に影響を与えているとの見方は強い。カリフォルニア大のロバート・ライシュ教授は、バノン氏の役割拡大で米政策は「(勝つか負けるかの)ゼロサム・ゲーム」の傾向を強めると指摘、「米国は一層の孤立化に向かい、これまで尊重してきた価値観が崩壊する」と警告した。

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