行政文書の適切な保存を義務付けた公文書管理法に基づく公文書の在り方が注目されている。大阪市の学校法人「森友学園」への国有地払い下げや、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の派遣部隊の日報問題を巡り、保存期間が「壁」となるケースが相次いでいるためだ。野党は可能な限り保存するよう求めるが、政府が法律を見直す動きは見えない。

 森友学園問題で、財務省は、近畿財務局と学園側の交渉記録を公文書管理法に基づく「財務省行政文書管理規則」によって廃棄したとして経緯の説明を避けた。財務省によると、交渉や面会記録など歴史公文書に該当しない文書の保存期間は、規則の細則で1年未満となっている。政府は廃棄したことでの著しい弊害は「なかった」(菅義偉官房長官)との立場だ。

 南スーダンPKOの陸上自衛隊の日報も保存期間は「1年未満」。昨年10月に情報公開請求を受理した防衛省は、12月に入り「廃棄済み」を理由に不開示を決定した。その後、日報の存在が判明して問題化した。

 稲田朋美防衛相は問題発覚を受け、2月に「現地隊員が見聞きしたことを書いた資料は全てしっかり保管すべきだ」と表明したものの、防衛省の見直しへの対応は「検討中」にとどまっている。

 「意思決定に至る過程が検証できる行政文書」の作成を求める公文書管理法は4月1日で、施行から6年が経過した。同法を所管する山本幸三行政改革担当相は、3月31日の記者会見で「国民の理解が得られるよう整理し直したい」とし、各府省庁の規則基準のガイドラインを見直す意向を示したが、期限や具体的な方策への言及はなかった。【共同】

 ■公文書管理法 行政機関の公文書管理に関する統一基準を定めた法律。2011年4月に施行された。公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付け「行政機関の長で構成される会議などの決定や了解、経緯」に関する文書作成を義務付けた。法の付則で施行後5年をめどに見直しの検討を求めており、政府が設置した有識者による公文書管理委員会は16年3月、文書の評価・選別を充実させるため研究者の協力を得ることなどを盛り込んだ報告書をまとめた。

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