東京五輪のホスト役として、首都の顔にふさわしいのは誰か-。政治とカネの問題で辞職した舛添要一前知事の後を受けた東京都知事選は、事実上の“三つどもえ”となった。選挙戦序盤から論戦が激しさを増している。

 顔ぶれはさまざま。民進、共産など野党4党推薦の鳥越俊太郎氏は現場一筋のジャーナリストで、幅広い知見が持ち味。自民、公明両党が推薦する増田寛也氏は岩手県知事時代に改革派として知られ、中央で総務相まで務めた実務型。真っ先に手を挙げた小池百合子氏は、政治家としての豊富な経験と女性ならではの視点が強みだ。

 いずれも個性が際だつが、選挙は人気投票ではないと強く指摘しておきたい。

 参院選に引き続き、「自公対野党共闘」の構図が、そのまま持ち込まれた。加えて、保守分裂により、保守票がどう動くかも焦点になる。

 これまでの都知事選を振り返ると、最後に出馬表明した候補者の当選が続いており、「後出しじゃんけん」が有利とされてきた。だが、本格的な政策論争抜きで選ぶようでは意味がないだろう。

 舛添、猪瀬直樹の両氏がいずれも、政治とカネの問題でつまずいたわけで、今回ばかりは失敗は許されない。知名度やイメージ優先ではなく、しっかりと政策と人物を見極めなくてはならない。

 最大の争点は2020年に迫った東京五輪を、東京のリーダーとしてどう指揮するかだろう。まさに日本の首都の顔であり、ホスト役として世界に向けた発信力も問われる。

 これだけの巨大プロジェクトを成功に導くために、残された時間は限られている。しかも、誘致段階に比べて、開催コストが膨らむなど迷走が目立つ。当初の計画通り、「コンパクト」路線を取り戻せるかが焦点になってくる。

 この膨大な開催コストの負担は、東京だけの問題ではない。国費から拠出される以上、地方に住む私たちの負担でもあるからだ。

 五輪を終えた後、東京一極集中がさらに進んだというのでは困る。東京だけでなく、いかに地方へも波及効果を生み出せるか。東京と地方が互いに恩恵を分かち合うウィン・ウィンの関係でなければ意味がないのではないか。

 人口の流入が続き、一極集中が進む東京の在り方は、疲弊に歯止めがかからない地方と、裏表の関係にある。東京と地方の関係をどう考えるのか、東京五輪はその試金石にもなるだろう。

 このほかにも、説明責任を果たさなかった舛添氏の公私混同疑惑の取り扱い、近い将来の発生が懸念される首都直下地震への防災対応、待機児童の解消などを含めた社会保障の在り方など課題は山積している。

 それぞれ、どのような処方箋を示せるかが焦点であり、その議論は地方にとっても参考になり、生かせる点が多いだろう。

 言うまでもなく、東京都知事は、単に一地方自治体のトップではない。日本の首都を率いる特別なリーダーであり、その発信力は世界へと向かう。明確な将来ビジョンを持っているのは誰か、そして実行力はあるのか、リーダーとしての資質はどうか。そのすべてが問われる。(古賀史生)

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