武雄市図書館の2016年度の来館者は前年度比5・4%減の68万8千人だった。書店やレンタルのTSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理運営を始めて4年。書店やコーヒー店スターバックスを併設する“ツタヤ図書館”と注目され、年間92万人超が来館したブームは落ち着いたようだ。

 CCCが指定管理運営を始めた13年度からの来館者の推移は、92万3036人-80万736人-72万8242人-68万8710人。14年度以降、3年連続で減ったが、減少率は低下している。16年度の後半は前年同月を上回っている月が3カ月あり、減少傾向に歯止めがかかったともみえる。今後は変動はより小さくなるだろう。

 来館者数と同様に貸出利用者と貸出冊数も3年連続で減った。16年度の貸出利用者は前年度比7・1%減の13万9808人、貸出冊数は同7・5%減の42万6536冊となった。また、利用登録者は約2万9千人で、前年度から2万人ほど減った。来館者が急増した13年度の登録者が3年の期限後に更新していないためだ。

 4年間ほぼ変動がなかった数値もある。貸出利用者の市内外比率は、市内が55%前後で推移した。指定管理前は80%程度だったので、市外からの利用がかなり増えた。指定管理に伴って延長された開館時間帯(午前9~10時と午後6~9時)の貸出状況も変動は少なく、全体の約3割を占める。

 CCCとの指定管理契約は5年間で本年度が最終年度。武雄市は来年度からの運営形態を決定するために検証、総括する方針だ。

 市議会で市が評価を問われることがよくある。回答は「来館者が大幅に増え、利用者アンケートでは8割超の人が『満足』と答えている」というのが恒例だ。

 確かに、指定管理運営前後で比較できる11年度と16年度を比べると、来館者は2・69倍、貸出利用者は1・69倍、貸出冊数は1・25倍といずれも増え、利用者の満足度は総合的にもスタッフサービスでも85%を超えている。1日12時間、年中無休で開館して利便性は向上し、武雄市の知名度アップにもつながった。

 ただ、満足度の理由の上位には「年中無休」「夜9時まで開館」「飲み物が飲める」「居心地よい」「スターバックス併設」が並ぶ。図書館の本来の業務がどう評価されているのかは見えてこない。

 そうした意味で、検証の際「地域の知の拠点としての役割」という視点も大切だろう。選書の適切さ、武雄に必要な資料の収集、学習や調査研究に適切な情報を提供するレファレンスサービス、時事への関心を喚起する企画や展示はどうか。他の図書館との連携、運営への市民参加という点もある。

 「雑誌やDVDが少ない」「独自の分類方法が分かりにくい」「(鍋島藩武雄領の蘭学史料を展示していた)蘭学館がなくなり、武雄の先進性をアピールできず残念」という声もある。日本図書館協会は昨年、「公立図書館に指定管理者制度は基本的になじまない」という見解を改めてまとめた。こうした声への考えも聞きたい。

 武雄市の検証、総括はこれから。利用状況の数字だけでなく、いろんな角度から図書館を見つめてほしい。(小野靖久)

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