事業承継の経緯や留意点を語った因幡うどん前社長の竹﨑敏和氏=佐賀市のホテルマリターレ創世

 企業の合併・買収(M&A)による事業承継の可能性を探るセミナーが21日、佐賀市であった。従業員の雇用維持などを条件に、昨年4月にラーメン店「一風堂」などを展開する力の源ホールディングス(福岡市)の傘下となった因幡うどん(同)前社長の竹崎敏和氏が講演した。

 竹崎氏は他社への事業売却を決めた経緯を振り返り、「強みや弱みを補完し合える相手が見つかれば、店の伝統を残しながら新たな事業を展開することができる」と述べた。

 セミナーは日本M&Aセンター(東京)が主催し、県内の経営者ら約100人が参加した。講演の要旨を紹介する。

■補完し合う相手選んで

 両親が創業した因幡うどんは福岡市内に4店舗を構え、北海道産の昆布だしや、やわらかい麺で市民に愛されてきた。ただ67歳を迎え、事業をどう引き継ぐかが課題だった。息子は大手企業に就職し、福岡に呼び戻すのは戸惑いがあった。従業員への承継も考えたが、適任者がいなかった。

 妻がM&Aセンターの説明会に参加したのが転機になった。何度か面談する中で会社を売却し、営業を続けてもらう決断をした。売却先の候補に挙がったのは飲食店100社ほど。従業員の雇用維持と店名、うどんの味を守ってくれることを条件に、慎重に選んだ。

 うどん店は売却先から除外した。経営合理化を理由に味が統一される心配があったからだ。力の源はラーメンが中心で、大手の経営ノウハウを基に味を残しながら店舗拡大も期待できると考えた。

 統合後には福岡空港内に因幡うどんの新店ができ、ラーメンとうどんのコラボメニューもできた。経営統合について従業員や取引先から反対の声もなかった。力の源が勢いのある企業で知名度も高く、「安心して任せられる」と思ってくれたのだろう。

 M&Aはお見合いのようなもの。互いの強みや弱みを補完し合える相手を見つけることが大切だ。今は因幡うどんの顧問としてうどん作りに打ち込んでいる。商売一筋で歩んできた人生にも少し余裕が出てきた。手を取り合って頑張ってきた従業員の幸せと会社の発展を見守っていきたい。

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