「伊西地区高校生市議会」で登壇し質問する高校生=11月11日、伊万里市議場

■若者の政治参加必要性実感

 高校生が市議会議員を務める「伊西地区高校生市議会」(伊万里西ロータリークラブ主催)が11月に開かれ、伊万里市と西松浦郡有田町の6校に通う24人が塚部芳和市長や市執行部に一般質問した。公選法改正で選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられたのを受けた取り組み。自分たちで質問や提案を考えることで市政の実情と課題を知り、若者の政治参加が必要なことを実感した。主な質疑と参加生徒の感想を2回にわたり紹介する。

■「高校生カフェ」設置支援は

伊万里農林 市の補助し初期投資で活用を

 TPP参加で農産物の輸入が拡大することが考えられるが、地産地消の取り組みは重要だ。農業高校が食のまちづくりに取り組むアイデアとして、特産品を使った新商品開発や「高校生カフェ」の設置が考えられる。市はどのような形で支援が可能か。

 力武健一産業部長 商品の原料となる農産品の提供で、JA伊万里や農家を紹介することは何ら問題ない。商品の販売経路も、JAが運営する複数の直売所で取り扱いが可能か確認したところ、JAから「前向きに検討したい」という回答をもらっている。生産や受注、発送の体制がきちんと整えば、市のふるさと納税返礼品への追加も可能だと思う。

 佐藤弘康政策経営部長 高校生カフェ設置について、資金面の支援は、事業内容を詳細に協議をした上で、国や県などの補助事業がないか探すことになるのではないか。市の事業としては、市民団体が主体的に行うまちづくり活動を支援する「21世紀計画市民夢づくり計画支援事業」の補助制度もあり、カフェ設立の際の初期投資として活用してもらえるのではないか。PRの面でもメディアやツールを活用し、積極的に協力できると思う。

■中心市街地の活性化策は

伊万里商 新ビジネス拠点開設 起爆剤に

 伊万里の中心市街地はシャッター商店街に近い状況になっている。市街地活性化について高校生の視点で、伊万里玉屋跡地へのショッピングモール新設や、市が土地と店舗を準備してテナント募集する賃貸式商業施設などの案を考えた。市は商店街活性化をどう考えているのか。

 力武産業部長 伊万里玉屋跡は民間所有のため、今後の利活用を市が独自で判断することはできない。建物は耐震性に問題があることから、そのまま利活用するのは非常に難しい。今後は百貨店という業態にこだわらず、あらゆる方向からの利活用策を伊万里玉屋と協議できればと考えている。空き店舗を活用しての賃貸型商業施設は、市が空き店舗を買い上げることは難しいものの、所有者の意向を聞いた上で、出店希望者に紹介するなど、有効活用を促進していきたい。

 塚部芳和市長 地方創生の一環で、ITを活用した新たなビジネスの創造拠点「PORTO3316」が今年9月、伊萬里まちなか一番館内に開設され、注目を集めている。特に若者の利用を期待したい。これを起爆剤に商店街にIT関連企業などの進出が進むよう、結果に結び付けたい。

■企業誘致で人口減抑制を

敬徳 新工業団地造成、子育て支援も

 市の人口は現在約5万7千人だが、このままでは50年後に約3万7千人になると予想されている。大企業の誘致を進めれば市内で就職できる若者が多くなり、人口減少が抑えられる。人口減対策をどう考えているか。

 佐藤政策経営部長 市はこれまでも企業誘致に力を入れ、業界トップクラスの企業を誘致してきた。現在は市内に企業誘致の用地がほとんどない状況だ。人口動向を見れば、若者や女性の市外転出が多い実態があるので、若者や女性が働きやすい仕事も想定した上で、誘致策を進めていきたい。

 塚部市長 松浦バイパス沿いに新たに工業団地を造成する。かなりの事業費が必要となるが、企業誘致は若者を定着の面でも重要だと考える。山代町浦之崎地区には海岸沿いの広大な埋立地がある。地震や津波の危険性が低く、東アジアに向けて立地が良く、西九州自動車道の延伸でアクセスも向上しているなどのセールスポイントを挙げ、トヨタに進出の働き掛けをしているのも事実だ。人口減少の抑制には、子育て支援も大事だと考え、子どもの医療費助成を中学生まで拡大するなど、家庭の経済的負担支援策も展開している。

=参加生徒の感想=(敬称略)

■伊万里農林

 西山翔 質問に対し、市長や市執行部は丁寧に答え、真剣に考えてもらえて、うれしかった。高校生の提案がこれからの市の発展につながり、市が良い方向に進んでいけばいいなと思う。

 古賀太啓 自分たちが将来の日本を背負わなければならないと感じた。施策に関しては、財源との兼ね合いで実現が難しい面がある。これからの伊万里を明るくするためには若い世代の行動が必要だ。

 山口世莉華 高校生議会を通じて、伊万里市の問題を見直すことができ、意見を伝えることの難しさ、堂々と人前で話すことの大切さなどを感じた。ほかの自治体でも、ぜひ実施してほしい企画だと思う。

 犬塚千聖 自分と同じような夢を持っている人がほかにも少なくないと思い、質問項目を考えた。自分が望む環境を実現するためには、まず選挙に行き1票を投じることが大切だと実感した。

■伊万里商

 中井航世 今回のように、市民と行政が交わる場が少なすぎると思う。選挙権年齢が18歳に引き下げられ、せっかく若い世代が政治に関わる権利を得たのだから、積極的に参加すべきだ。

 久間龍晟 議長席に座った瞬間から緊張と不安におそわれたが、徐々に緊張がほぐれ、スムーズに議事進行できた。今回のような議会をもっと開き、同世代に政治への興味を持たせるべきだと思う。

 迎怜奈 学校の授業などでは味わえない貴重な体験ができてありがたい。市の課題を改めて考え、地域を良くするには大人に頼るのではなく、自分たちも行動しなくてはならないと思った。

 前田紫乃 政治について考えるいい機会になり、大人に近づく実感も湧いた。もっと自分たちが住む伊万里を多くの人に知ってもらいたい。そのためには若者の力が必要。みんなで盛り上げていこう。

■敬徳

 牧瀬宏陽 伊万里の状況や今後の対策などを知ることができた。答弁は分かりやすく、自分たちもうなずける場面が多かった。高校生の質問を行政に生かし、市の活性化を目指して頑張ってほしい。

 山口優樹 最初は質問のアイデアが浮かばなかったが、調べていくうちに市の課題が見えてきて、自分たちから市への提案も考えることができた。この経験を通じて、政治の大切さも理解できた。

 吉永千夏 選挙権年齢が18歳以上になるのはいいこと。若者の意見を取り入れ、よりよい日本になればと思う。みんなでつくる社会なので、選挙権のある人はもっと関心を持ち、政治に参加すべきだ。

 杉山澄怜 これまで行政に興味がなかったが、質問項目をインターネットなどで調べる中で、知らなかったことを勉強でき、伊万里市の行政への興味が湧いた。18歳になったら、選挙に行きたい。

このエントリーをはてなブックマークに追加