向かい合う2頭のライオンや女神などが描かれた鏝絵=佐賀市道祖元町の松尾サヨさん宅

 ○…佐賀市道祖(さやの)元町(もとまち)の松尾サヨさん(84)の旧家が、老朽化に伴い、近日中に解体されることになった。2階階段近くの壁3面にあった立派な鏝絵(こてえ)も取り壊される。松尾さんは「保存できず無念だったが、最後まで見届けたい」と話している。

 ○…鏝絵は大正4(1915)年に近くに住んでいた左官職人の川久保貞吉さん(故人)が制作。壁3面に2頭の向かい合うライオンや女神、バラをあしらったアールヌーボー風の花が描かれている。明治25(1892)年に建てられた商家で、当時は木炭や竹を扱っていたという。川久保さんの弟子が2階に間借りしていた縁で、鏝絵が描かれた。

 ○…松尾さんは「白壁が張り巡らされたハイカラな室内だった。女神の目にはガラスが埋められ、夜見るとそれが光ったので、娘はすごく怖がっていた」という。鏝絵を残そうと、市や大学関係者に相談したものの、文化財的な価値や保存するための費用が高額になることを勘案し断念。「解体する日はいろいろな思い出が浮かんで涙すると思います」と複雑な思いを抱きつつ、その日を迎える。

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