「農業電化推進コンクール」で大賞の農水省生産局長賞に輝いたキュウリ農家の中山道徳さん(左)。家族で力を合わせて栽培しており、「後を継ぎたいと言ってもらえるように、稼げる農業を目指したい」と語る=伊万里市大川町のハウス

 農業分野で電化技術を導入し、省エネや品質向上、収量アップなどに成功した先進事例を表彰する「農業電化推進コンクール」で、伊万里市大川町の施設キュウリ農家、中山道徳さん(29)が、大賞の農林水産省生産局長賞を受賞した。ヒートポンプで加温の重油使用量を大幅に削減したほか、光合成を促進する炭酸ガス(二酸化炭素)発生機や環境測定装置を導入。ハウス内の温湿度管理で県平均収量の倍近い10アール当たり32・7トンを実現したことが高く評価された。

 コンクールは電力会社をはじめ、電気設備や農業関連の団体・企業などでつくる農業電化協会(東京)が主催。各地域から17事例の推薦があり、現地視察などを経て大賞3点が選ばれた。

 中山さんは高校卒業後に自動車整備士として働いていたが、ナシ生産者の父から「『やってみるか』と言われて心が一気に動いた」といい、6年前に就農した。加温ハウスと無加温ハウスの2棟(各10アール)で周年栽培体制を確立している。

 ヒートポンプの導入により、冬場のハウス内の加温に使用しているA重油は、導入前の年間約9・8キロリットルから2・5キロリットルに削減。電気使用量は上がったものの、暖房費用を半分に圧縮した。

 ハウス内の湿度や炭酸ガスの濃度などを測定し、自動制御で光合成が活発に行われる環境を長時間にわたって維持。成長を促して収量を上げた。測定したデータはパソコンに表示・蓄積保存され、栽培技術の研究や改善に生かしている。

 大川町は山に囲まれて日照時間が短く、キュウリの生育に必ずしも好条件とは言えないが、市内や武雄市など近隣で先進的に取り組んでいる生産者に学び、栽培技術を吸収して就農3年目で目標収量に達した。

 「受賞を励みに、安定して高収量を上げる技術を確立した上で、さらなる高みを目指す」と中山さん。将来的には、光量の少ない冬場にLEDで光を補うことで生育を促進するなど、新たな最先端技術導入も見据える。「年々増えてきた同世代の仲間と産地を盛り上げて、キュウリをナシと並ぶ名産品にしたい」と意欲を示す。

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