甲子園に向けた初練習で古賀一則監督(右)の言葉に耳を傾ける早稲田佐賀の選手たち=唐津市の同校グラウンド

■本番想定の練習

 「甲子園はもっと暑いぞ」「しっかり声を出していこう」-。佐賀大会決勝の興奮冷めやらぬ25日、唐津城の真下にある早稲田佐賀のグラウンドには、早くも甲子園へ向けた練習に汗を流す選手たちの姿があった。

 参加41校への事前取材で多くの主将が「うちにも優勝のチャンスがある」と答えた今大会。その言葉通り、実力伯仲の好ゲームが続き、準々決勝までにシード4校すべてが姿を消した。大混戦から抜け出し、最後に歓喜の輪を広げたのは、帽子にえんじ色の「W」を刻んだ選手たちだった。

 チームの走り出しは順調ではなかった。腕試しの場となる昨秋の県大会は、腰を痛めたエース森田直哉がベンチから外れ、3回戦で佐賀商に完封負け。森田は復帰が期待された春先も右足首骨折で投げられず、3月の県大会は佐賀学園に0-4で敗れた。頼みのエース不在で打力もなし。まだこのときは誰も自分たちが甲子園に行けると思っていなかった。

 ことし4月、2013年の夏の県大会決勝で有田工に敗れたときの古賀一則監督(37)が再びチームに戻ってきた。古賀監督は最初のミーティングで選手に尋ねた。「本気で甲子園を目指しているのか」。学業との両立が求められる進学校にして、選手たちの素直な気持ちを知りたかったからだ。

 部員のほとんどが寮生活で練習は2時間だけ。その中で効率よくレベルアップを図るために取り入れたのは「常に本番を想定した練習」であり、最も強く求めたのは「球際の集中力」だった。

 それまでと練習内容は大きく変えず、ただ「一球の質にこだわった」。試合を想定し、ボール回しは3分、シートノックは7分。その間にミスがあっても、できるまでやるということはせずに、そのまま次のメニューに移る。「練習のための練習はしない」。目の前の一球に懸ける気迫と集中力が自然と磨かれた。

 NHK杯の直前には森田が復帰。それまでチームを支えてきた2年安在悠真も力をつけて投手陣が整うと、選手たちは6月のNHK杯で佐賀学園、龍谷とこれまで歯が立たなかった強豪を破って4強入り。直後の西北部大会でも優勝し、「あれで自信がついた」。夏の準備が整った。

   ◇    ◇

 高い投手力を武器に創部8年目で春夏通じて初となる甲子園出場をつかんだ早稲田佐賀。優勝までの軌跡と聖地に向かう生徒たちの今を紹介する。

このエントリーをはてなブックマークに追加