首相官邸で開かれた、働き方改革実現会議。右端は安倍首相、左端は経団連の榊原定征会長=1日午後

 政府は1日、首相官邸で働き方改革実現会議を開き、長時間労働を抑制するための議論をスタートさせた。安倍晋三首相は「時間外労働の限度が何時間かを具体的に定めた罰則付きの法改正が不可欠だ」と述べ、具体案の提示を求めた。実現会議は残業の上限を設け罰則を付けることで一致し、トラック運転手や建設作業員などを中心に、影響の大きい職種は施行時期を遅らせるなどの猶予策を検討する。

 政府は14日の次回会議で具体的な残業時間の上限を盛り込んだ新たな仕組みを提示する。1年間の残業時間を月平均60時間の720時間、繁忙期は月100時間まで認める方向で調整している。

 経済界は賛成の意向だが、過労死ラインとされる月80時間を超える残業を容認することに対し、連合の神津里季生会長は会議後「到底ありえない」と批判。過労死の遺族や野党の反発も強く曲折も予想される。

 政府は3月にまとめる実行計画に盛り込み、労働基準法改正案を国会に提出する方針。現在の労基法は企業が残業させる場合、労使協定(三六協定)を結んで上限時間を決める必要がある。厚生労働省は上限を「月45時間」と告示しているが、労使で合意すれば年6回までは上限を超えられるため「残業時間は青天井」と批判されている。

 政府案は「月45時間」を告示ではなく法律に盛り込み、労使合意でも超えられない上限を設ける。どんなに忙しくても残業は単月で100時間、2カ月続くなら月平均80時間まで、年間なら720時間(月60時間を12カ月)を超えてはならないと定める考えで、上限を超えた場合、罰則の対象とする。

 政府は研究開発職や管理職は上限規制の例外とする考えだが、連合は反対を表明。仕事を終えてから次の始業までに一定時間の休息を入れる「勤務間インターバル規制」の導入を求めた。【共同】

=ズーム=

 ■残業規制と過労死ライン 労働基準法は労働時間を1日8時間、週40時間までと規定。企業が労働者に残業をさせるには労使が合意して協定(三六協定)を結ぶ必要がある。厚生労働省は三六協定の残業を月45時間、年360時間までとしているが、労使で合意すればこれを上回ることが可能。上限に取り決めはなく、事実上青天井となっている。厚労省は脳・心臓疾患を労災認定する基準を、発症前1カ月におおむね100時間、または2~6カ月にわたり1カ月当たりおおむね80時間超の残業があったことを目安の一つとしており、「過労死ライン」と呼ばれる。80時間を下回る残業でも過労死と認定される場合もある。

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