「お花は初めての体験。接いだり、針金を入れたり、お料理のように素材を加工することを知りました」と話す野村萬斎

 「立派な大輪にも、野に咲く小さな花にも優劣は付けない。武力でなく、花の力で“戦さ”を挑んだ男の物語です」。戦国時代から江戸時代にかけて活躍した生け花の名手、初代池坊専好(せんこう)。その生きざまを描く映画「花戦(はないく)さ」で、狂言師の野村萬斎が専好を演じる。

 専好は京都・六角堂の花僧。松を使った巨大な生け花「大砂物」で織田信長(中井貴一)を魅了し、千利休(佐藤浩市)と友情を育む。だが、豊臣秀吉(市川猿之助)の悪政で大切な人々を失い、生け花の力で秀吉の乱心を収めようと挑む。

 専好を「少年のまま大きくなった人」と捉え、ハイテンションに演じたと語る萬斎。「作品の主題は、人も花も同列に語ること。森羅万象に平等な、イノセントな存在を表現したかった」。専好の考えは能楽の礎を築いた世阿弥の「風姿花伝」にも通じるという。

 監督は篠原哲雄、脚本は森下佳子。美しく穏やかな映像が華道、茶道、墨絵など多様な日本文化を描き出す。「東京五輪を前に、『日本ってどんな国?』とアイデンティティーを考えるのにいい。勉強っぽくならず、見るだけで自然と分かるので、若い方々もぜひ」

 専好の挑戦は、まるで「北風と太陽」の太陽だ。「独裁者が台頭し、力で人々を制す政治が横行する世界の中で、芸術、文化の力の大きさが伝われば」と2017年に専好を描く意義を語る。

 専好の考え方が、権力者を否定しない点も特長という。「偉い人だって人間じゃないか、と。毒やとげを持つ人も認めて、人間自体を肯定する視点で描く物語だからこそ、説得力を感じました」【共同】

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 映画「花戦さ」は、109シネマズ佐賀とイオンシネマ佐賀大和で3日公開。

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