経済産業省は28日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分ができる可能性のある地域を示した日本地図「科学的特性マップ」を公表した。九州・沖縄では、8県全ての沿岸部で最終処分場の候補地となり得る「輸送面でも好ましい」地域があるとされた。火山地域や旧産炭地は、好ましくないとされた。

 沖縄は火山のある尖閣諸島の一部を除き、大部分が「輸送面でも好ましい」とされた。一方で鹿児島は、鹿児島湾周辺や熊本、宮崎県境などに火山が分布し、本土の大半が「好ましくない特性があると推定される」との判断。離島はトカラ列島などが不適で、種子島や屋久島、奄美群島などは好ましいとされた。

 福岡は、関門海峡と西部の海沿いを除いて好ましいとされる地域が広がり、北九州や筑豊、筑後などの旧産炭地は好ましくないとされた。

 佐賀は、九州電力玄海原発(玄海町)がある一帯は石炭が埋蔵されており、好ましくない地域と分類。東部は輸送面でも好ましい地域とされた。

 長崎で好ましいとされたのは北部沿岸と西彼杵半島から長崎市にかけた地域と対馬。島原半島、五島列島などは火山があるため好ましくないとされた。

 熊本の中西部から大分の北部の国東半島にかけても阿蘇山などの火山が連なり不適。熊本地震の震源となった断層帯周辺も不適とされた。

 大分の南東部から宮崎の日向灘沿いは、輸送面でも好ましい地域が長く続く。一部の不適はガス田が理由だった。【共同】

=識者談話= 

■多くの課題先送り

 慶応大の金子勝教授(財政学)の話 地震国の日本で、国土の大半が高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の適地だと示されても違和感がある。核のごみをはじめ、原発について国は「事故リスクが低い」「発電コストが安い」などとして、実際は多くの課題があるのに解決を先送りしてきた。東京電力福島第1原発事故でそれが全てうそだったと露呈した。国は今回も色分けしただけの曖昧なマップを発表し、処分場選定が進んでいるかのようなごまかしを続けている。課題に向き合わず、原子力政策を推進しようとする姿勢にはあきれるしかない。

■候補地へ配慮必要

 長崎大の鈴木達治郎教授(原子力政策)の話 マップの公表は国の責任で最終処分を進める上で一歩前進だ。次のステップは文献調査だが、処分地の決定ではないことを明確にして、できるだけ複数の自治体に呼び掛け、同時並行で交渉する配慮が必要だ。仮に候補が1カ所で、地元などから反対の声が相次いだ場合、つぶれてしまうかもしれない。交渉は公開し地域住民が意思決定に参加できる仕組みを設けることも、原子力政策への信頼が揺らいでいる中では重要だ。また地層処分への不安は根強く、安全性は、国の機関ではなく第三者機関によるチェックが欠かせない。

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