■国「経済効率、温暖化対策も」 県民「電気は足りている」

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働について、佐賀県の山口祥義知事の判断時期が迫っている。県議会は臨時議会で13日に決議で意思表明をする予定。残る手続きは経済産業相、原子力防災担当相の来県と知事自らの玄海原発視察になる見通し。県民説明会などでの国や九電とのやり取りから論点を整理する。

 国は2014年4月に策定したエネルギー基本計画に基づき、原子力を「安全性を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付ける。依存度は可能な限り低減させるが、原子力規制委員会の審査をクリアすれば、立地自治体など関係者の理解と協力に取り組みながら、再稼働を進めるとしている。

 必要性のポイントは、エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、温暖化対策の大きく3点になる。

 日本は、石油や石炭など化石エネルギーのほとんどを海外から輸入している。エネルギー自給率は6%で、震災前の約20%から大きく低下し、経済協力開発機構(OECD)34カ国でも2番目の低さ。原発の燃料となるウランも輸入に頼っているが、核燃料として複数年使えることなどから、国際ルールに合わせて原子力を「準国産エネルギー」としている。

 11年の福島第1原発事故以降、火力発電の稼働や再生可能エネルギーの賦課金で、電気料金は家庭向けが約20%、産業向けは約30%上昇した。温室効果ガス排出量も10年度と比べて増えている。

 国は「エネルギー源には一長一短ある」と説明。それぞれを最適な形で組み合わせるエネルギーミックスを掲げ、自給率を震災前を上回る約25%、電力コストを13年度の9・7兆円から30年度に9・5兆円に引き下げ、欧米並みの温室効果ガス削減を政策目標に据える。30年度に全電源に占める原子力の割合は20~22%としている。

 県には、県民からメールなどで「化石燃料は為替レートや政情で価格が変動するため原発は必要」「原発を安全に稼働することが安心につながる。保護主義が台頭する今、自給率の高さが武器になる」など再稼働容認の意見が寄せられた。

 ただ、6年が経過した今も多くの人が避難を余儀なくされている福島の事故を教訓に「事故が終わっていないのに再稼働すれば同じ過ちを繰り返す」など、大半は慎重・反対意見が占める。国は再稼働に責任を持つ姿勢を示すが、「福島で誰も責任を取っていないのに信用できない」「事故が起これば誰も責任は取れない」などの声も上がった。

 九電は16年夏から節電要請をしておらず、「電気は足りている」との意見も根強い。震災後は古い火力発電や他電力からの融通で乗り切り、最近は節電が進み、川内原発や新たな火力発電が稼働し、安定供給に最低限必要な予備力は確保している。再稼働にかけるコストを再生可能エネルギーに転換すべきとの声に、国や九電は「安定供給に課題がある」と指摘する。

 経済性では、専門家の指摘を参考に「事故処理や交付金など政策的なコストも考慮すれば高い」との意見もあった。佐賀大学の豊島耕一名誉教授は、「原発ゼロ」ができない明確な論拠が示されず、「安定供給や経済性の言葉を漫然と並べているにすぎない」と批判している。

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