科学的な視点で「核のごみ」の最終処分ができる地域が公表された28日、玄海原発が立地する東松浦郡玄海町が「不適地」となる一方、佐賀市などが「適地」に入り、東西で色分けされた。山口祥義知事は受け入れに慎重姿勢を示し、適地とされた市町からは戸惑いながらも今後の議論を見守る意見が相次いだ。

 再稼働の準備が進む玄海原発3、4号機が立地する玄海町。適地に選定されれば協議する姿勢を見せていた岸本英雄町長はマップ公表を受け「国民全体が議論と理解を深める必要がある」とコメントし、「好ましくない地域」とされた結果への言及はなかった。

 玄海原発の使用済み核燃料は既に容量の約8割が埋まっており、最終処分場ができなければ、たまり続ける。

 「わが国として早急に決めていかなければならない認識は持っている」。山口知事は原発立地県のトップとして、最終処分場を整備する必要性を認めつつ、受け入れに関しては「新たな負担には慎重な立場で向かっていきたい」と否定的な考えをにじませた。

 地下の安定性に加え、海岸線から近い自治体は「輸送面でも好ましい」と最上位に色分けされ、県内は北部、中部、東部が入った。

 市域のほぼ全域がこれに分類された佐賀市の御厨安守副市長は「『適地』とされているが、この結果だけで市として協議を始めることにはならない」と慎重に言葉を選んだ。沿岸から20キロの範囲で輸送面が評価されている点についても「有明海が果たしてどうなのか。これ以上コメントするのは難しい」と述べた。

 唐津市の櫻庭佳輝総務部長はマップを見て、市域での輸送に好ましい地域が広いとの感想を漏らし、「まずは適地区分の考え方の詳細を確認したい」。再稼働に反対の立場を示す神埼市の松本茂幸市長は「命に関わる案件で、今後エリアが限定されてくるだろう。市民の安全を守るトップの立場として経過を注視したい」と語った。

■町なくなるほうがまし/作物売れない 処分場への不安各地で

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分ができる可能性がある地域を示した日本地図「科学的特性マップ」を経済産業省が公表したことを受け、地元が処分場になるかもしれないことへの不安を訴えたり、「議論が深まる」と期待したりする声が各地で上がった。

 2007年、処分場選定に向けた文献調査に全国で初めて応募し、住民の反対で撤回した高知県東洋町。全域が「輸送面でも好ましい地域」とされたが、住民からは受け入れを拒む声が出た。

 町商工会の元会長西岡尚宏さん(60)は、過疎化を懸念し、かつて文献調査に賛成したが、「東京電力福島第1原発事故で国が信用できなくなった」といい、反対の立場に。「受け入れるぐらいなら町がなくなるほうがまし」と語気を強めた。

 一部で適性が高いとされた鹿児島県南大隅町。過去に処分場の誘致検討が表面化し、その後、撤回した。町でサツマイモなどを出荷する農業肥後隆志さん(66)は「処分場ができれば、作物は売れなくなり従事者がいなくなる」と憤った。

 北海道幌延町には日本原子力研究開発機構による地層処分研究拠点「幌延深地層研究センター」がある。研究に反対する住民団体代表の鷲見悟さん(63)は北海道沿岸の多くが適地になったことに不安を訴えた。「選択肢が広がってしまった」

 岩川実樹副町長(56)は「国民の関心が高まり、議論が深まる」とマップの公表を歓迎したが「処分場誘致は一切考えていない」と念を押した。

 同じく地層処分研究施設がある岐阜県では、反対派の市民団体代表兼松秀代さんが「どこかの地域が妥協しなければいけない処分方法に問題がある」と批判の声を上げた。

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