上場式典で鐘を鳴らし、記念撮影に応じるLINEの出沢剛社長=15日午後、東京・日本橋兜町の東京証券取引所

東証1部に上場したLINEの初値を示す東京証券取引所の電光掲示=15日午後、東京・日本橋兜町

 無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)が、日米で上場した。韓国のIT企業が旧ライブドアを吸収して日本で生み出したサービスが市場を開拓。今では月間2億人が利用し、時価総額も1兆円規模となった。ただ、法令順守面で不安が指摘されているほか、親会社の韓国企業が強い影響力を維持したまま上場しており、市場での信頼確保が課題となりそうだ。【共同】

 東京証券取引所で開かれた上場式典で、出沢剛社長は5人の幹部と一緒に記念の鐘を鳴らした。そのうち2人は韓国人の幹部だ。ニューヨーク証券取引所には親会社の韓国ネイバー出身でLINEの生みの親とされる慎ジュンホ取締役が姿を現し、多国籍企業であることを印象付けた。

 ネイバーは1999年の設立で、韓国のインターネット検索で高いシェアを持つ。2000年には日本に進出。10年に旧ライブドアを傘下にし、事業の起爆剤として無料通信アプリに取り組んだ。

 東日本大震災では携帯電話が通じない中、通信系のアプリで被災者と連絡できたケースが相次いで報告された。それをきっかけに開発を急ぎ、震災から約3カ月後の11年6月、LINEアプリが世に出た。

 LINEは、中心となる3人の幹部が合議で経営する「トロイカ体制」とされ、慎氏もそのうちの一人だ。日本人のトップである出沢社長はライブドア出身で、「LINEは得意分野が違う二つの会社が融合した物語だ」と振り返る。

 一方、日米の上場企業としてスタートしたLINEだが「機関投資家は買いにくいのでは」(ネット証券)との声がある。ネイバーの関与が強く、企業統治(ガバナンス)に懸念があるためだ。

 東証1部に新規上場する場合、通常は株式の35%以上を市場に流通させなくてはならないが、LINEは約20%にとどまる。日米同時上場のため例外規定が適用されたからだ。ネイバーは実質的に8割程度の株式を持ち、親会社の影響力は通常の上場企業に比べて大きい。

 上場承認前には、関東財務局がLINEのゲーム内で使うアイテムの一部を資金決済法上の「通貨」として認定し、供託金を求められた。日本の法令に対する理解不足が原因とされ、こうした態勢整備が今後は強く求められそうだ。

 ■LINE(ライン) 社名と同名の無料通信アプリを手掛ける。韓国のインターネット検索最大手「ネイバー」が2000年に日本で立ち上げたゲーム会社が前身。本社は東京都渋谷区。グループの従業員は約3200人。11年6月にアプリのLINEを開始し、13年4月に現社名に変更した。16年3月の全世界の月間利用者数は約2億1840万人。ゲームや広告のほか、動画や音楽配信、決済事業も手掛ける。

=上場は世界挑戦のスタート 出沢剛社長インタビュー=

 日米で上場したLINE(ライン)の出沢剛社長(43)が15日までに共同通信のインタビューに応じ、今後の経営戦略を語った。

 -上場の狙いは。

 「世界での存在感を高めるためだ。アジアから世界に挑戦できるインターネット企業は少ない。LINEは世界に挑戦できる切符を持っており、上場は次のステップに行くためのスタート地点」

 -今後の成長戦略は。

 「地域で高いシェアを持っている日本、タイ、台湾、インドネシアに投資を集中し、勝ちきることが第1優先だ。ほかの市場は攻めづらい。流れに逆らって投資してもいい結果は得られない」

 -LINEの目標は。

 「世の中のすべてのやりとりに、メールや電話でなくLINEを使うのが当たり前という世界をつくる。動画や音楽などあらゆる領域で新しい取り組みが増えている。LINEを入り口に、問題解決できる部分が広がっている」

 -韓国資本で、日本の旧ライブドアを吸収して成長した。

 「親会社の韓国ネイバーはサービスを生み出すことに優れた会社。ライブドアは事業を育てるのが得意だった。非常にうまくいった会社合併のケース。韓国、日本ということは意識していない」

 -法令順守(コンプライアンス)が課題だ。

 「上場前から意識してやろうとしており、誠実に対応する。社外役員も入れた。社内の意識徹底にも取り組んでいる」

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