門司税関で報道陣に公開された、押収された金塊。刻印が消されたような跡もあった=2日午後、北九州市

送検のため、移送車に乗り込む斎藤靖昭容疑者=2日午前11時半ごろ、唐津市の唐津警察署(画像の一部を加工しています)

■刻印消された跡

 唐津市鎮西町の名護屋漁港で、金塊とみられる積み荷約206キロが小型船で密輸された事件で、捜査当局は2日、全量を金塊とほぼ断定した。海上保安庁が、公海上で小型船と別の船の接触をレーダーで確認していたことも捜査関係者への取材で判明。海保や佐賀県警などは、中国からの金塊が東シナ海で受け渡しされた疑いがあるとみて調べている。

 金塊には精錬業者や品質などを示す刻印が消されたような跡もあり、海保などは入手先を特定できないようにするためとみている。

 押収された金塊は同日、北九州市の門司税関で報道陣に公開された。縦11センチ、横5センチ、高さ0・9センチ相当の1枚約1キロの延べ板で、206枚あった。数枚を純金と確認し、残りも重さなどがほぼ同じだった。全て純金と確定すれば、1回の押収量としては過去最多で、約10億円相当。

 唐津署と唐津海上保安部は2日、関税法違反(無許可輸入)の疑いで逮捕した男8人を、同容疑で送検した。捜査関係者によると、調べに対し全員が否認しており、一部は「金塊とは知らなかった」と話しているという。

 唐津署では同日午前11時半ごろ、10人ほどの警察官に囲まれた船長斎藤靖昭容疑者(49)がうつむいたまま車に乗り込んだ。中国籍の林子忠容疑者(41)は別の車両に乗せられ、残りの6人も県内の複数の署から出発した。佐賀地検には午後0時半ごろから、容疑者を乗せた車が次々と到着した。

■消費税8%分利ざや?

 金塊の密輸事件が相次ぐ背景には、海外から日本に持ち込む際にかかる「消費税8%」の納付をくぐり抜けることで不当な利益を稼ぐ狙いがあるようだ。

 東京商品取引所によると、現在の金の取引価格は1グラム当たり4500円前後。2000年ごろは1千円前後だったが、中国やインドといった新興国の需要が増え、現在は高止まりの状況になっているという。

 財務省関税局の担当者は「金の価格が高くなったことに加え、(14年から)消費税が8%になった。10年前より今の方が利ざやが大きくなっている」とみる。

 利ざや狙いを裏付けるように、金塊密輸の処分件数は13年7月から1年間が8件だったのに対し、15年7月から1年間は294件と急増。航空機によるものが287件で98%を占めた。

 船舶を使ったケースでは近年、韓国からの貨客フェリーに載せた活魚運搬車に金塊20キロを隠したり、クルーズ船の乗客が15キロを運んだりした事件がある。

 関係者は「旅客機の場合は一人が持ち込める量は限られるが、船は一度に大量に運べる側面がある」と話し、唐津市の名護屋漁港での事件を受け、改めて海上ルートへの警戒感を強めている。

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