地域の特色を生かしたまちづくりについて活発な意見が交わされた=太良町中央公民館

子育て環境すごくいい/海中鳥居を観光資源に/婚活でカップル成立へ/産品活用して商品開発

 佐賀新聞社は、太良町の地域振興をテーマにした「まちづくりを語ろう会」を町中央公民館で開いた。農業や商工業、婚活支援などで活躍する町民7人と岩島正昭町長が、町の現状や課題、将来像について熱く語り合った。

 -まずは自己紹介を兼ねて、皆さんの取り組みを教えてほしい。

 中尾 農産加工グループ「工房みかんの里」の代表を務めている。会員は14人で、嫁としゅうとが一緒に2組入っているのも特徴。町の産品を生かして酒まんじゅうやよもぎ餅、シフォンケーキなどを作り、道の駅や、町総合福祉保健センター「しおさい館」で販売している。今後も商品開発し、レパートリーを増やしていきたい。

 川崎 黒酢アミノ酸を使った黒酢みかんの栽培や、ジャバラ(和歌山県原産のかんきつ類)を使った商品開発に取り組んでいる。インターネットの環境があれば、商売はどこでもできると考え、通販会社を立ち上げた。昨年からは太良町のふるさと納税の返礼品にも使ってもらっている。農家がもうけるのは直販しかないと思って頑張っている。

 田嶋 父の代から豚肉専門の卸問屋をしている。二十数年前に自分が神奈川から戻ってきてからは、ハムやソーセージの加工も始めた。10年前、ドイツのコンテストに初めて参加したが、金賞などを獲得して自信になった。町内には食肉処理場があり、肉が温かいうちに加工できるので、本場ドイツのように添加物を使わないソーセージを作れる利点がある。これをやっているのは全国でもわずかだ。

 川島 婚活を支援する「男塾」の代表を務めている。仕事は日本料理店と結婚式場を営んでいるが、年を重ねるごとに町内で結婚する人が減ってきた。結婚はしたいけど相手がいないという話をよく聞くため、男塾は昨年度、体育指導員の女性も誘って10人ほどで立ち上げた。年度末には婚活パーティーを開き、町内の男性8人、町内外の女性10人ほどが参加してくれた。

 前田 私は嬉野市塩田町の出身で、太良町に移り住んで四十数年になる。町外に出た人がせめて年に一度でも帰郷するきっかけになればと、浮立保存会の復活に合わせ、地域のみんなで千乃灯篭まつりを始めた。今年で5年目を迎えるが、ここ2、3年は写真愛好家も二十数人くらい訪れる。地域にある海中鳥居を太良の観光資源にできないかと考えている。

 山口 町商工会青年部は納涼夏祭りなど町内のイベントに協力している。2カ月に1回のペースで続けているあいさつ運動では、町のヒーロー「タラレンジャー」の格好をして多良小や大浦小に出向いている。夏は暑いが、子どもたちには大好評だ。私たちは地元の子どもたちの笑顔が一番と思ってやっている。そのためには何より町が元気でなければならない。

 原 私は宮崎からバラ農家に嫁いできた。ようやく農家の大変さ、楽しさが分かってきたところ。義父母は努力が実り、6年前に全国農林水産大臣賞をいただいた。2代目の私たちはその技術を大切にしながら精進し、もっと名前を広めたい。4軒でファインローズというグループをつくって東京などに出しており、デザイナーや消費者の反応があるとやりがいを感じる。つらいことも吹き飛ぶ。

 -皆さんの話を聞いて、町長はどのように感じられましたか。

 岩島町長 太良は自然がいっぱいで、やり方次第で伸びる地域。皆さんの努力に負けないように、町も一体となって頑張っていきたい。立地条件から企業誘致が難しい中、男塾の活動なども含めて「子育て支援のまち」として人口増に向けた対策をやっていく。

 -町内で生活や仕事をしていてよかったことは。

 中尾 加工所で品物を作っているが、ミカンや海産物のカキがある時期は一緒によく売れる。

 田嶋 1次産業の集積地で、やはり海の幸や山の幸、水がおいしい。3世代とか家族で一緒にいられるのもいい。祖父母と一緒に住んだり、近くに住んでいれば、子どもに何かあったときも見てもらえる。

 原 子どもの保育園や小中学校でつながりがあるし、近所の人も助けてくれる。住みやすく、子育てするにはすごくいい環境。

 前田 山の源泉に水をくみに行くが、おいしいし肌にもいい。多良岳の恩恵だろう。「しおさい館」は風呂やトレーニングルームが低料金で使うことができ、恵まれていると感じる。

 川島 仕事のやりがいを感じるのは、結婚式でうれし涙を流す人たちを見たとき。最近は結婚しなくてもいいという男性もおり、男塾では結婚する意味や目的のほか、デートの服装やコースまで教えたりしている。

 -皆さんが描いている町の将来像について教えてほしい。

 田嶋 2年ほど前から、本場欧州の長期熟成タイプの生ハムづくりに取り組んでいる。昨年からは生ハムづくりを体験できる生ハムオーナー制度を始めたが、県内外からやってみたいという反響があり、キャンセル待ちの状況になった。近年は体験ツアーがはやっている。旅館組合などとタイアップして町の観光振興につなげたい。

 川島 一人でも多くの方に男塾を理解してもらい、協力してくれる人を増やしながら、多くのカップルを成立させたい。困った時は「遠くの親戚より近くの他人」というが、「近くの親戚とご近所さん」といった具合になればと思う。

 原 農家も経営者なので、経営の勉強が一番大事だと思う。生産は収入を得るための一つの過程。コストや効率を自分たちできちんと考えることができるように、勉強会も必要と考えている。

 川崎 お客さんに「おいしかったよ」と言ってもらえるのが、ものづくりの喜び。太良の自然を生かし、ミカンづくりのノウハウや喜びを継続していきたい。若い人に頑張ってもらえたらうれしい。

 前田 太良町は「月の引力が見えるまち」と言われているが、有明海の再生が発展の条件だと思う。子々孫々まできれいだと言われる状態に戻してほしい。

 -最後に町長にまとめてほしい。

 岩島町長 きょうはいろんな意見を聞いたが、皆さんのようにやる気がある人がどんどん出てくれば、太良町の将来は明るい。今後は地域のリーダーの育成にも力を入れていきたい。

■出席者

中尾千鶴子さん(工房みかんの里代表)

川崎豊洋さん(農事法人かねひろ代表)

田嶋征光さん(田嶋畜産代表)

川島力男さん(男塾塾長)

前田靖忠さん(栄まちおこし会)

山口英樹さん(太良町商工会青年部部長)

原真美さん(ファインローズ)

   ◇    ◇

岩島正昭・太良町長

■進行

澤野善文・佐賀新聞社編集局長

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