竹を並べた「やな」と呼ばれる仕掛けに落ちてきたアユを捕まえる家族連れ=熊本県甲佐町のやな場

 竹をすのこ状に並べた「やな」と呼ばれる仕掛けに、緑川から迷い込んできた若アユが跳ねる。食事中の観光客は箸を置いて席を立ち、急いでやなの上へ。ピチピチと跳びはねるアユを素手で捕まえると「やったー」と歓声を上げた。

 川のせせらぎを聞きながら、かやぶきのあずまやでアユ料理を堪能できる熊本県甲佐町の「やな場」。肥後藩主の細川忠利が1633年に築造を命じたとされる由緒ある施設だ。現在は町が観光施設として所有し、地元業者に運営を委託している。店主の米村征一郎さん(73)は「アユのフルコースを出すのは全国でも少ない。風景も素晴らしいですよ」と胸を張る。

 以前は中高年の男性客が中心だったが、最近は6、7割が女性客。娘や孫ら5人で訪れた熊本県合志市の主婦、石田百合子さん(64)は「風情があって感動しました」と満足そう。孫の松岡菜海さん(7)は「2匹捕まえた。ヌルヌルして楽しかった」とはしゃいでいた。

 熊本平野を横切るように流れ、有明海に注ぐ1級河川の緑川。しかし近年はアユが減り、やなに落ちてくる数も少ないという。「夕立で川が濁った時がチャンスですね」と米村さん。捕れたアユはいけすに移した後に料理に出すこともあるが、約7割は県内の養殖アユを使っている。

 営業は6月1日から11月30日まで。今の時期は香り高い新鮮な味、9月以降は脂ののった味が楽しめる。

(熊本日日新聞御船支局・久保田尚之)

■メモ

 九州自動車道御船インターから車で15分。料理は4104円、3564円、2484円の3コース。塩焼き、みそ焼き、吸い物、刺し身などが味わえる。営業は午前11時~午後8時。土、日、祝日は予約を勧めている。やな場=電話096(234)0125。

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