陽気で桜の開花も進む。きょうは小中学校で始業式がある。一つずつ学年が上がるにつれ環境も変わることだろう。入園、入学式を控えた子どもたちもいて、心弾む春だ。すぐ給食が始まり、勉強に部活にと気ぜわしい日常がスタートする◆今でこそチャイムの音とともに、きちんと運営される学校だが、明治の中ごろまでの小学校規則や学校管理法書には、校時の区切りを拍子木で打ち鳴らす「撃柝(げきたく)」や、太鼓を使った「鼓報」で知らせると書いてある(佐藤秀夫著『学校ことはじめ事典』)◆戦前から戦後すぐの瀬戸内海の島の分教場を舞台にした映画「二十四の瞳」でも、校時を鐘で知らせる情景が描かれている。学校に時計が普及していない時代は、時限が細かく分かれていなかったようだ◆日ざしや、時には先生の「腹時計」で大体の区切りをつける。ちょっと笑えるような、おおらかな時代だったのである。義務教育の普及で学校の規模が大きくなり、先生の数も増え、管理運営の画一化の傾向は時計の備え付けを必要とした◆時計の普及が学校に幸せを運んだかは分からないが、子どもたちは時間を守ることの大切さを学ぶ。社会全体の流れが速い時代だ。時間に追われながらも、しばらく足を止める時もあっていい。いつもいつも走っていては、見えない風景もあるのだから。(章)

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