太古木が漬かる地下水の水位保全のため、埋め立てられる排水路(中央)。右手が太古木が埋まる八藤丘陵=上峰町堤

 三養基郡上峰町は、国天然記念物で約9万年前の太古木が埋まる八藤丘陵北側の排水路を埋め立てる工事に今秋着手する。太古木の良好な保存の一因となっていた地下水の水位が圃場(ほじょう)整備によって低下しており、保水性の高い土砂で水路を埋め戻すことで、必要な水位確保につなげる。

 八藤丘陵北側の排水路は幅9メートル、深さ3メートル、全長120メートル。周辺農地の所有者の了解を取った上で、稲刈りを待って10月以降に着工し、保水性の高い真砂土などで埋め立てる。来年3月末までに完了する。代替の排水路は現状よりも浅く造る。国の天然記念物再生事業を活用、総事業費は865万円で国が50%、県18%、町が32%をそれぞれ負担する。

 八藤丘陵一帯はもともと標高が約30メートルあったが、圃場整備に伴い太古木が埋まる地点の北側に1992年度、排水路が設けられた。排水路の最も低い部分は26メートル程度まで掘り下げられているが、太古木は25~27メートルの地点に埋まっている。09、10年に保存状態を確認するために掘り起こした際、水位の低下で水に漬かっていない部分があることが判明した。

 学識者でつくる保存対策委員会から対策の必要性が指摘されていたが、これまでは対象地が民有地だったため、町が積極的な保存整備に着手できずにいた。15、16年に約6600万円をかけて町有化し、本年度から具体的な保存整備事業に入ることが可能になった。

 町は18年度まで2年かけて太古木の保存活用計画を作る予定で、9月までに策定委員会を発足させる。前町文化課長で現在は同課主幹の原田大介さん(60)は「県内の国天然記念物で地質分野は唐津市屋形石の七ツ釜とここだけ。まずはうまく保存し、緑地公園化なども進められれば」と話す。

 八藤丘陵は約9万年前、九州一円を襲った「阿蘇4火砕流」でなぎ倒された埋没林や地層。93年、圃場整備の工事中、マツ科トウヒ属の巨木(長さ22メートル、直径1・5メートル)など多数の倒木群が出土した。04年に国天然記念物に指定されている。

このエントリーをはてなブックマークに追加