ル・コルビュジエ設計の国立西洋美術館が「世界文化遺産」に登録された。この心躍る決定によって、日本にあるモダニズム(近代主義)建築も見直されるかもしれない◆あまり知られていないことだが、佐賀は建築を学ぶ全国の学生にとって注目スポットの一つである。1963年に完成した市村記念体育館と県立図書館、1966年の大隈記念館、1970年の県立博物館といった昭和の名建築が集まっているからだ◆市村はコルビュジエの弟子にあたる坂倉準三の設計である。ギザギザ屋根と折板状の外壁がつくる大空間構造が実に見事だ。図書館と博物館は、内田祥哉(よしちか)と高橋?一(ていいち)の共同作品。図書館は極めて合理的な設計で高く評価されているし、博物館は十字形の構造が魅力を放っている。大隈記念館は日本にガウディを紹介した今井兼次の作品だ。いずれも名のある建築家ばかりである◆佐賀大大学院の後藤隆太郎准教授(建築学)によると、1960年代後半から70年代前半、これらは中央の建築学生にとって生きた教材だった。「若いころ図書館をトレース(模写)して学んだ」と先輩の老教授が話していたという◆遠くはない時期に佐賀の名建築たちも、建物の寿命を迎えることとなろう。難問かもしれないが、残る道をと思う。今回の世界遺産登録が後押しになるだろうか。(章)

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