エミューを飼育している農家の吉田猛さん。今後頭数を増やし、町内での加工を目指す=基山町宮浦

 三養基郡基山町は、町内で飼育が広がっている大型鳥エミューと農作物被害の原因となっているイノシシの双方を扱う食肉処理施設を2017年度中に整備する。事業者や一般客に精肉を提供するほか、町内飲食店と連携してメニュー開発も進める。狩猟者の負担軽減を図るとともに、ジビエ料理による地域活性化につなげる。

 場所は町キャンプ場近くを想定、エミューとイノシシをそれぞれ処理する二つのラインと保存用の冷蔵・冷凍設備を備える。総事業費は2千万円で、ふるさと納税の基金を充てる。施設は町が整備し、指定管理者に運営を任せる。

 町内の農作物の鳥獣被害額は15年度で約265万円。16年度の駆除期間内(8月中旬~10月中旬)にはイノシシの成体9頭、幼体5頭が捕らえられた。担当する産業振興課は「被害額は報告に基づくもので、捕獲頭数も駆除期間のみの数。それぞれの実数や被害はさらに大きい」と話す。

 現在は解体処理などを狩猟者に頼らざるを得ない状況で、町は「多くの労力や技能を必要とすることから捕獲が進んでいない」と分析した。エミューと合わせた食肉処理施設を造ることで負担を軽減し、6次産業化と獣害対策を同時に推進する。

 エミューは14年度から耕作放棄地対策を目的に町内で飼育が始まり、現在は約130羽が飼われている。当初から飼育されている個体が、今年秋には食肉解体に適した約50キロの成体になるという。松田一也町長は「全国的な問題であるイノシシと基山ならではのエミューを“ダブルジビエ”として取り組む。エミューの飼育者や狩猟者と連携しながら進めたい」と話す。

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