昨年1年間の「おれおれ詐欺」など特殊詐欺の被害額は406億3千万円で、前年より75億7千万円(15・7%)減ったことが2日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。減少は2年連続。2004年の統計開始以降で最悪だった14年の565億5千万円と比べ、約160億円減った。

 一方、被害届に基づく認知件数は未遂も含め1万4151件で、前年より327件(2・4%)増え、警察庁の担当者は「依然高水準であり、引き続き取り締まりを強化する」と話している。

 手口別の分析では、「医療費の払い戻しがある」などとだまし、電話で現金自動預払機(ATM)の操作を指示して、現金を振り込ませる「還付金詐欺」が3682件で、前年より1306件(55・0%)の急増となった。被害額も42億6千万円で、前年より17億1千万円(67・4%)増えた。最多の被害額は、さいたま市の60代女性が昨年4月にだまし取られた898万円。

 最も多い手口は、子どもや孫などを装うおれおれ詐欺の5737件で91件減。被害額も最多の166億円で9億1千万円減。いずれも全体の4割を占めるが、件数は4年ぶり、被害額は7年ぶりに減少した。

 全体で見た1件当たりの被害額は、額が大きくなりやすいおれおれ詐欺などの減少もあり、70万5千円少ない306万9千円。金をだまし取られる形態では、有料サイト利用料金名目の架空請求などによる電子マネーの被害が増加傾向にある。

 都道府県別の件数を既遂のみで見ると、最多は東京の1838件。大阪の1560件が続き、千葉と神奈川も千件を超えた。被害額は大阪の52億5千万円(10億8千万円増)や神奈川の46億1千万円(5億7千万円増)など大都市で増加したのに対し、秋田や岐阜など8道県で半減した。

 佐賀県内で昨年発生した「ニセ電話詐欺」(特殊詐欺)の被害額は過去最悪の2億2579万円で、前年より2465万円(12・3%)増えた。認知件数は69件で、前年より7件(9・2%)減少した。

■被害の78%が65歳以上

 昨年1年間に65歳以上の高齢者が特殊詐欺の被害に遭った件数は1万1041件で、被害届に基づく認知件数全体の78・0%を占めた。2013年以降、高齢者率は70%台後半で横ばいが継続。警察庁は金融機関などと連携して対策を強化しているが、高齢者の被害防止が大きな課題であることを改めて示した。

 警察庁によると、65歳以上の割合を手口別で見ると、おれおれ詐欺で95・8%、還付金詐欺で93・0%に上る。金融商品取引名目でも89・5%に達した。

 このうち還付金詐欺についての分析では、高齢者らの被害者が金を振り込んだ現金自動預払機(ATM)の96・5%に当たる4676カ所は、ショッピングセンターなどに設置されていた。金融機関の店舗などでは特殊詐欺対策として、高額の振り込みをしようとする高齢者への声掛けなどを強化。犯行グループは、周囲に人がいない場所にあるATMでの振り込みを指示するようになったことなどが背景にあるとみられる。

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