佐賀県が全県民対象に県内5カ所で開いた説明会。1000人収容規模の各会場は空席が目立った=2月21日、唐津市民会館

■ 第三者検討委遅れて設置 質疑不十分“消化不良”の声

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働について、佐賀県の山口祥義知事は安全性の確認と県民の理解を前提に「やむを得ない」との立場を明らかにしている。同時に、過程を重視する県政運営に沿い、最終判断に向けて多くの意見を聴き、公開する姿勢を見せる。

 昨年末、農漁業や福祉、経済など県内各団体の代表でつくる「広く意見を聴く委員会」と、原子力や地震工学などの専門家に助言をもらう専門部会を設けた。県独自の第三者的な組織は多くの立地県で既にあり、遅れた立ち上げだった。

 県内首長の会合・GM21ミーティングでは意見を2回聴取した。県主催の説明会は半径30キロ圏内外の計5会場で2月21日~3月3日に開催、その後、長崎県5会場、福岡県1会場でも各県が開いた。佐賀県内の説明会会場やメール、県政提案箱でも意見を受け付け、3月末現在、計417件が寄せられている。

 市民団体から推薦された再稼働に慎重な立場の専門家には、県職員が聞き取りし7人分をホームページで公開した。説明会の様子やエネルギー政策、原子力防災、適合性審査の概要、玄海原発の安全対策は、動画や資料を公開している。

 説明会の開催状況を先行県でみると、鹿児島県では半径30キロ圏内で原子力規制委員会が5回、資源エネルギー庁、内閣府、九電が1回の計6回開かれた。愛媛県は3回で、いずれも県主催ではない。福井県では説明会自体が開かれず、隣の京都府の半径30キロ圏にある7市町で実施している。佐賀県幹部は「先行県を参考に、できることは何でもやった」と話す。

 県民説明会では、推進側だけの説明だったことや平日夜という日程、質問時間を限定した進行に批判が相次いだ。質疑は反対意見ばかりで「容認意見を言える雰囲気ではなかった」「電力自由化や廃炉など関連の説明や質疑もやるべき」など容認派からも“消化不良”の声が寄せられた。追加開催の要請を県は拒んだ。市民団体は賛否双方の考えを聞く公開討論会の開催を求めている。

 広く意見を聴く委員会は3回で終わり、「慎重な専門家の意見を聴くべき」と公平性を疑問視し、継続を求める委員もいた。

 6回の議論を重ねた専門部会には、一部の委員が原発関連企業から寄付を受けていたことへの批判もある。廃炉決定前、老朽化した玄海1号機の危険性を指摘していた井野博満・東京大学名誉教授は「偏ったメンバーでは問題点を明らかにすることは困難」と述べ、新潟県で設置準備が進む健康問題や避難計画を検討する委員会の必要性も訴える。

 原発の構造設計や安全性が専門の元原発設計技師・後藤政志大学非常勤講師は「原発事故と対策について地元住民の意見を反映させる点から一定評価される」としつつ、意見を聴く姿勢にとどまっていることに、「住民を交えて徹底的に議論することが問われている」と指摘した。

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