国産ロケットが軌道に乗せた衛星「みちびき」は、日本版GPS(衛星利用測位システム)への道を開いた。誤差がこれまでの米国製GPSの10メートルから、たった6センチに収まるようになると聞けば、日本の技術力が誇らしい。これで自動運転も、いよいよ現実味を増す。が、喜んでばかりもいられない◆今年3月、最高裁がGPS端末を捜査対象者の車に取り付ける捜査は、令状なしでは違法だと判断した。その弁護をした亀石倫子弁護士に、こんな格言を教わった。「人の住居は彼の城である。雨や風は入ることはできるが、国王は入ることはできない」◆どんなに強い権力であっても、個人の領域を侵してはならないというわけだ。憲法35条の「何人も、その住居、書類及び所持品について侵入、捜索及び押収を受けることのない権利」とぴったり重なる。この事件では窃盗の被告だけでなく、犯罪とは無関係の知人の車にも端末を取り付けていた◆亀石弁護士はGPS捜査を、眠らない警察官にも例えてみせた。「警察官が知らない間に、自動車の底に張り付いています。この警察官は、疲れを知りません。眠たくなりません。しかも、いつまでも記憶することができます」◆技術の進歩は危うさをもはらむ。どんな技術も使い方次第。使う側のモラルと社会的なルールで、どう導くかだろう。(史)

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