犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案は6日午後、衆院本会議で審議入りする。衆院議院運営委員会は5日の理事会で、佐藤勉委員長(自民党)の職権で本会議の開催を決定。与党は4月中の衆院通過と、今国会での成立を目指す。民進党など野党4党は反発しており、後半国会の焦点である同法案を巡る与野党の対立はさらに激化しそうだ。【共同】

 佐藤氏による職権での本会議開催決定を受け、野党4党は強く批判したが、本会議には出席する方針。抗議のため欠席するよりも、答弁が不安定な金田勝年法相を追及し、質疑を通じて法案の問題点をあぶり出した方が得策だと判断した。

 共謀罪法案は、適用対象をテロ組織などの「組織的犯罪集団」と規定。2人以上で犯罪を計画し、少なくとも1人が資金の手配や関係場所の下見などの「準備行為」をしたとき、計画に合意した全員が処罰される。

 政府は共謀罪法案について、東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策として必要で「一般市民は処罰対象にならない」と説明。ただ「正当な団体でも目的が一変した場合は対象となる」との見解を示している。

 野党側は捜査機関による恣意(しい)的な捜査への懸念が払拭(ふっしょく)できないと批判。277に絞り込んだ対象犯罪を巡っても、広すぎると問題視している。

 5日の衆院議運委理事会では、6日の同法案の審議入りに理解を求める与党に対し、野党側は性犯罪を厳罰化する刑法改正案を優先すべきだと反論した。

 民進党は、共謀罪法案を優先して刑法改正案の審議を後回しにする与党方針に反発し、5日の衆院法務委員会を欠席した。民進党の逢坂誠二氏は「法案の常識的な順番を全く無視しており、極めて不誠実だ」と記者団に述べた。

■44議会が意見書 共謀罪「必要か大いに疑問」

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案に懸念を示し、撤回や慎重な対応を求める地方議会の意見書が5日までに少なくとも44件可決され、衆参両院や安倍晋三首相に提出されたことが地方議会や両院事務局などへの取材で分かった。

 県議会では三重、宮崎の2件、市町村議会では11都道府県の42件で、いずれも3月中に可決した。このうち37件は改正案への反対を表明したり、撤回や国会提出の断念を求めたりする内容。7件は「テロ行為などの準備行為の処罰を一般化する必要性や合理性が明らかにされなければならない」(宮崎県議会)などと慎重な検討を求めた。

 改正案に関する金田勝年法相や首相の国会答弁を踏まえ「国民は大きな不信感を募らせている」(新潟県新発田市議会)などと指摘した意見書もあり、住民の不安や疑問を代弁した。未集計分があるとみられる他、今後増える可能性もある。

 反対意見書で岩手県花巻市議会は「思想や人の心は処罰しないという近代刑法を根底から覆す」と指摘。東京都国立市議会も「モノ言えぬ監視・密告社会をつくる」と強い懸念を示した。高知県須崎市議会は「極めて広範囲にわたって捜査権限が乱用される恐れがある。本当に必要か大いに疑問」と訴えた。

 金田法相が国会審議を回避する内容の文書を発表、撤回した問題を取り上げて「国会議員の質問権を侵害する国会軽視」(京都府向日市議会)と批判する内容も。

 大分県警別府署員が野党の支援団体が入る建物敷地に隠しカメラを設置した問題に触れ「市民団体や労働団体も対象にされかねない」(奈良県三宅町議会)とする意見書もあった。

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