地域住民らの美化活動によって清流を取り戻した幸地川=7月7日、沖縄県名護市東江

 沖縄本島の北部、名護岳に源流を持つ「幸地川(コーチガー)」。長さ3キロほどの川沿いには「ひんぷんガジュマル」(国指定記念物)や名護博物館、オリオンビール工場など名護市を代表する建物が並ぶ。水質は良好で、市民の憩いの場だ。子どもたちがテナガエビやモクズガニを探す姿も見られる。

 古くから市民に親しまれてきた幸地川だが、一時は「どぶ川」と呼ばれた。1972年に沖縄が日本復帰した後の乱開発や建設ラッシュ、家庭用排水で幸地川の水質が悪化し、生き物が激減した。そこから奇跡の復活を遂げる。

 状況を憂いた地元住民は88年、「幸地川を蘇生させる会」を組織し、川の清掃を始めた。行政も巻き込み、環境に配慮した改修工事を進めた。一時期、魚類はわずか10種足らずしか確認されなかったが、2009~10年には魚類59種が見つかるまでに回復した。

 川の近くで生まれ育った稲福英希さん(38)は小さいころ、川で1メートルものオオウナギをつかまえ、かば焼きにして食べたこともある。幸地川が再びきれいになったことを喜び「今のまま、僕らが遊んでいた時と同じような幸地川になったらいいな」とほほ笑んだ。

 名護博物館の村田尚史学芸員は「いろいろな生き物がいることを知ってもらい、地元の宝として大事につないでほしい」と話し、幸地川から採集した生き物たちをいとおしそうに見詰めた。

(琉球新報北部報道部・赤嶺可有)

■メモ

 幸地川は沖縄自動車道許田インターチェンジから車で約15分。名護市東江の市立名護博物館には幸地川から採集した絶滅危惧種を含む生き物を展示している。幸地川に面した名護中央公園の「せせらぎ広場」は駐車場やトイレを完備している。

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