武雄市歴史資料館に、幕末に登場し近代灯火の先駆けとなった「無尽灯(むじんとう)」が収蔵されている。明かりを灯(とも)す油が切れないことからその名がついたとされ、シンプルな外見に比べ、内部は複雑な構造になっている。発明したのは「東洋のエジソン」と呼ばれる発明家・からくり儀右衛門(田中久重)だ◆現在の福岡県久留米市に生まれ、有名なからくり人形「弓曳(ひ)き童子」をはじめ、和時計の最高傑作とされる「万年自鳴鐘(じめいしょう)」などの発明品を残す。佐賀藩に招かれると、科学研究所である「精煉方(せいれんかた)」で蒸気機関や大砲の研究に携わった。明治維新後は上京して機械製造所を設立、これが「東芝」の前身となる◆その東芝が大揺れしている。一昨年の不正会計問題の余燼(よじん)さめやらぬ中、今度は米原発事業での巨額損失問題が表に出て、それが7千億円にも膨らむ見込みだという。負債が資産を上回る債務超過に転落する恐れさえ出てきた◆原発建設工事を手掛ける米企業を、東芝の米原発子会社が買収したことが発端。原発を造るコストが急増し、この会社の業績が想定外に悪化したのが足を引っ張っている◆買収前の資産の査定はどうなっていたのだろう。何か裏に「からくり」があったのではといぶかりたくなる。シャープに続き、また名門の危機。「日の丸電機メーカー」の行く末が心配だ。(章)

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