記録的豪雨による災害が全国各地で相次いでいる。交通や通信手段が遮断された有事の際、会員制交流サイト(SNS)を利用した救助要請が当たり前のように使われる時代となった。SNSは今や重要な情報インフラである。半面、誤用により混乱を招く事例も依然として後を絶たない。スマホが普及し誰もが発信できる今、正しい利用法の啓発が急務だ。

 今月初めの九州北部豪雨。ツイッターには「避難できずに取り残されています」などと救助を求める被災者の書き込みが流れた。

 災害時の救助要請は119番が基本だが固定、携帯電話は回線が破損したり混み合ったりしてつながらないことがある。そんな時でもインターネット回線は機能していることが比較的多く、SNSで発信することにより、災害地以外の安全な場所にいる不特定多数の人に情報が届く利点もある。

 ツイッターでの救助要請には推奨法がある。多くのつぶやきが流れるタイムラインで見つけてもらうにはキーワードの前に「#」を付ける。#で始まるフレーズをハッシュタグといい、ツイッターにはこれを使った投稿を集約して一覧表示する機能があり、より多くの人の目に触れさせることができるようになる。

 具体的には#の後に「救助」と書き、孤立している住所や人数、けがや周囲の状況などを具体的かつ正確に記述する。可能なら位置情報や写真、動画を付けると信頼性も増し、救助する側にとっても有益な事前情報が得られる。

 問題は情報を受け取る一般利用者側の対応だ。「頑張って」などの書き込みは全く無意味で情報を途切れされるだけだ。スマホ画面のスクリーンショットを撮って投稿する人もいるが、これでは発信源の情報が更新されず、古い情報がいつまでも独り歩きする最悪の結果となる。

 正しい対応は、むやみに拡散せず、情報を発信した被災者とSNS上で連絡を取り合って状況を確認し、当該地区の消防や行政への連絡を代行することだ。拡散させる場合は、投稿者の情報更新または削除が反映されるよう、公式のリツイートやシェア機能を使う。これだけは必ず守ってほしい。

 事後に情報発信者側が行うべきこともある。無事に救助された、あるいは状況が落ち着いたら、救助が要らなくなった旨の書き込みをした上で救助投稿を削除する。これをしないといつまでも要請状態が続き、現場の混乱を招く。

 佐賀県内でも2016年1月、大雪で立ち往生した列車内からのSNS情報で、近隣住民が食料や毛布などを届ける救援活動に結び付いた。SNSは今後も災害時に効力を発揮するだろう。

 最近では被災者の膨大な書き込みを人工知能(AI)で解析し、災害場所を瞬時に地図上に表示するなどし、救助をはじめ防災や減災につなげるプロジェクトが進んでいる。AIを使うことにより、無用な拡散により有益な情報が埋没してしまうことや、悪意によるデマ情報も排除され、正確な情報を速やかに把握できる「SOSサイト」もそのうちできるだろう。

 それまでは教育現場を中心にSNSの正しい利用啓発を地道に続け、この有益なツールをさらに有効に活用できるよう社会で知識を共有したい。(森本貴彦)

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