漁業者への対応などを答弁する川嶋貴樹九州防衛局長(右)と土本英樹大臣官房審議官=佐賀県議会

■特別委主なやりとり 

 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画を審議する佐賀県議会の佐賀空港・新幹線問題等特別委員会(竹内和教委員長、12人)は2日、防衛省幹部や県執行部への出席を求めて集中質疑を行った。漁業被害が出た場合の補償について防衛省幹部は、原因調査を関係漁業者や学識経験者を交えて実施して被害認定する枠組みを示した。

 漁業被害に対する補償に関しては、諫早湾干拓事業など公共事業に伴う被害を国が認定してこなかったとして計画反対を訴える漁業者も少なくなく、これまでの説明会でも質問が相次いでいた。

 九州防衛局の川嶋貴樹局長は「防衛省の行為と、(被害)発生した状況の因果関係を漁業者に立証していただくのが原則だが、行政官相手に立証が大変との意見もあった」とした上で、原因調査に関して「漁業者や、学識経験者、研究者らに入ってもらって、漁業者にも十分意見を言っていただけるようなことも考えている」と説明した。風評被害が対象になるかでは、補償課の本間克哉室長が「風評被害も含めて適切に対応していく」と答えた。

 県執行部に対しては、5月30日に公表した計画に関する論点整理の素案への質疑が相次いだ。「(県有明海漁協、漁業者の)理解が得られなければ防衛省の要請が実現することは困難」との県の見解を踏まえ、「その理解が得られれば計画は実現するのか」との質問があり、古賀英敏企画課長は「漁業者、地権者の理解が大前提となるが、少なくとも公害防止協定などの当事者である佐賀市、JA、柳川市の考えも見極めた上で判断する必要がある」と答弁した。

特別委、主なやりとり

■防衛省 風評被害含め適切に補償

 コノシロ漁への対応

 Q 防衛省は音の被害に関し調査対象としていないのに、「影響はない」と断言した。こうした姿勢が不信感につながっている。コノシロ漁への対応は。(自民・古賀陽三議員)

 A コノシロ漁への影響に関し「オスプレイの騒音が魚類に与える影響はないと判断することは一定の合理性がある」としている。だが特に有明海漁協の皆さまから、コノシロに対する影響調査をすべきという意見をいただいた。昨年11月のオスプレイの音源を用い、コノシロ漁の漁期(7、8月)に実施調査する方向で話をしている。(土本英樹大臣官房審議官)

 漁業振興

 Q 漁業者には払しょくし難い国への不信感がある。県民、漁民と向き合う姿勢を持つのであれば、地元に真に寄り添うことが必要だ。(古賀議員)

 A 漁業振興という点で防衛省として何ができるのかという観点では、防衛施設周辺環境整備法がある。防衛施設の設置・運用により、周辺地域の住民の方々の生活、または事業活動が阻害されるようなことがあると認められる場合、地方公共団体が例えば氷を作ったり氷をためたりする施設、冷凍・冷蔵施設、加工施設、養殖施設などの費用を防衛省が一部補助するという制度がある。補助率は3分の2で、こういった点も含め真剣に考えていきたい。(土本審議官)

 国全体としてのアプローチ

 Q 漁業者にとっては、諫早湾干拓問題と絡め、「国」としてひとくくりになってしまっている。関係省庁が国全体として、県、地元住民に対し何らかのアプローチをすべき。(古賀議員)

 A 5月、若宮健嗣副大臣が佐賀県を訪問した際に山口知事から話を受けたため、その後、事務レベルで農水省にしっかり伝えた。防衛省の副大臣から農水省の副大臣(2人)にもお伝えした。その上で、オスプレイの佐賀空港配備について、諫早湾干拓事業の経緯を踏まえるという観点で農水省と相談して県民の理解と協力をいただけるよう説明していきたい。(土本審議官)

 A 「国は補償する補償すると言って補償しない」という声もある。オスプレイ運用開始の後、漁獲量が減少しているということが起きた場合、損害について立証する際「漁業者側が立証が難しい」ということであれば、防衛省が、なぜそういうことが発生しているのかという調査をさせていただきたいと考えている。漁業者や、場合によっては専門家の助言も聞きながら、調査内容や方法も漁民の皆さまに相談し、補償を適切に実施していきたい。(川嶋貴樹九州防衛局長)

 補 償

 Q 先ほど「補償」の話が出た。どの程度の被害を想定し、立証を「手伝う」ということか。(県民ネット・江口善紀議員)

 A 金額の多寡にかかわらない。(川嶋局長)

 Q ノリ期に事故があった場合、何十億円にも上る風評被害が懸念される。それも対象になると約束できるのか。(江口議員)

 A 状況確認は必要だが、風評被害も含め適切に対応する。(本間克哉地方協力局補償課室長)

■県執行部 漁業者と同じ立場で対応

 環境問題

 Q 防衛省の要請を受け入れることになった場合、環境対策をきちんと講じているか、有明海の環境に異変がないかを確認するため、防衛省、漁協、県、専門家などで構成する監視委員会のような組織を立ち上げる考えはないか。(自民・原田寿雄議員)

 A 佐賀空港では県、漁協関係、佐賀市、神埼市を構成員とする公害対策連絡協議会が設置され、騒音や水質に関する環境調査結果を報告している。玄海原発でも原子力環境安全連絡協議会があり、周辺の環境放射能調査や温排水影響調査の結果を報告している。これらが参考になり、仮に受け入れる方向で検討する場合は防衛省と協議したい。(古賀英敏企画課長)

 公害防止協定

 Q (協定締結で)佐賀空港は自衛隊と供用しないとの約束を漁協と交わしたのであり、国からどんな要請があろうとも守っていくのが当然ではないか。(共産・武藤明美議員)

 A 漁協でも要請の時点で断ればいいとの意見はあるが、「国防という国の根幹に関わる要請で、県として責任のある検討、議論をして回答する必要がある」と説明している。覚書付属書の記述を見直せるかどうかは、漁協、漁業者の気持ちをしっかりくみ取ったうえで相談することになる。(落合裕二政策部長)

 Q 協定覚書付属書を根拠に自衛隊との供用は認められないとの意見は多い。協定を論点の一つとして整理するべきではないか。取り上げなかった理由は。(公明・中本正一議員)

 A 今回の20の論点はあくまで防衛省の計画の影響について県民の安全安心の観点から洗い出したもの。協定は違う意味での大きな論点と考えており、各論点を整理するに当たっての前提にあるとして(論点整理素案の)基本的な考え方に記載している。(古賀課長)

 漁業者との関係

 Q 例えば県が受け入れる判断をして、漁業者の賛同が得られないため実現しなかったとなると、矢面に立たされる漁業者は非常に酷だと思う。判断の際はそれも見極めるべき。(県民ネット・江口善紀議員)

 A 県の基本スタンスとして漁協や漁業者と同じ立場で防衛省の要請に対応している。漁業者が矢面に立たされる状況になってはならず、しっかり意思疎通をしながら考えていきたい。(落合部長)

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