「あんなにマージャン屋さんが上手にしゃべるようになったら、テレビに出ている人はみんなお手上げね」-。黒柳徹子さんが「徹子の部屋」で思い出を語っていた。そのマージャン屋さんは、放送作家として活躍していた大橋巨泉さんだった◆黒柳さんが見た「11PM」で、巨泉さんは「競馬とか麻雀(マージャン)とかゴルフとか、スポーツやギャンブルのコーナーを設けたらどうだろう」と思いつく。ところが出演者がいない。仕方なく自らカメラの前に立ったが、これが受けた。自伝『ゲバゲバ70年』(講談社)で明かしている◆「ほんの些細(ささい)なこと、わずかなタイミングで人はまったく異なった道を歩くことになるのだ。ボクの大好きな言葉に、将棋用語の『それも一局』というのがある。(略)指してしまった以上、くよくよしても仕方がない。今回の人生を、今後もより楽しく送ることにしたい」◆「クイズダービー」「世界まるごとHOWマッチ」-。1990年にセミリタイアするまで、テレビ史に残る名物番組を次々に生み出した。どの番組にも共通するのは、自ら楽しみ、面白がる精神だろう。テレビで遊び、人生の楽しみ方を伝えた◆冒頭の徹子の部屋へは、親友の“ラジオの巨人”永六輔さんと出た。永さんの死から、わずか5日後。テレビの巨人も去り、また昭和が遠くなった。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加