自民党の憲法改正推進本部が、大学など高等教育を含む教育無償化を改憲項目と位置付けたことに伴い、教育を受ける権利を定めた26条1項に、経済的理由で教育を受ける機会を奪われないとの趣旨の文言を追加する案の検討に入ったことが分かった。国民の「教育の機会均等」を確保する重要性を改めて強調するのが狙い。同条に3項を新設し、教育環境の整備促進を国に課す案も浮上している。複数の党関係者が30日、明らかにした。

 無償の対象は26条2項で義務教育のみと定めている。今回の検討では大学など高等教育へ広げると憲法に規定するのは見送り、教育無償化の範囲は機会均等の趣旨に沿った政策判断に委ねる方向だ。

 安倍晋三首相(党総裁)は5月のビデオメッセージで、9条への自衛隊明記とともに、大学など高等教育の無償化を議論するよう促した。ただ条文案を検討する党憲法改正推進本部は財源論の観点から、高等教育の無償化規定を盛り込むのは難しいと判断。連立を組む公明党も慎重意見が根強い。自民党としては「教育の機会均等」を確認する文言を加えるにとどめ、他党との合意形成を優先した形だ。同推進本部の幹部は教育無償化を巡り「財源でさまざまな議論がある。憲法には目指すべき方向性を明示するにとどめ、関連法の制定とセットで考える」と強調した。

 26条1項の改正を巡っては、日本維新の会も同様の提案をしており、維新の賛同も取り付ける意味合いがある。新設を検討する同3項では、教育を「国の未来を切り拓く上で欠くことのできないもの」と定義し、国に「教育環境の整備に努めなければならない」と義務付けた2012年の自民党改憲草案をベースにする。同推進本部は今秋の臨時国会で衆参両院の憲法審査会に党改憲案を示すとした首相指示を踏まえ、条文案作成へ作業を急ぐ。

 一方、自民党は憲法違反との指摘がある国の私学助成を巡り、89条改正も議論する。(1)公金支出の対象から「教育」を削除する(2)支出の範囲を巡り「公の支配に属しない」から「国や地方自治体の監督が及ばない」と改める-などの方法で対応する案が出ている。【共同】

■憲法26条 1項で国民に教育を受ける権利を保障するとともに、2項で保護者が子どもに教育を受けさせる義務を負うと定める。義務教育は無償とも明記している。教育を受けさせる義務は勤労、納税と合わせた国民の三大義務の一つ。安倍晋三首相は5月のビデオメッセージで、大学など高等教育の無償化を巡り「高等教育を全ての国民に真に開かれたものにしなければならない」と強調した。文部科学省によると、国公私立大などの授業料無償化には3兆円以上が必要とされる。【共同】

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