会社を譲渡した経緯などを説明する向井珍味堂の中尾敏彦さん=佐賀市のホテルニューオータニ佐賀

 企業の合併・買収(M&A)をテーマにしたセミナーが、佐賀市で開かれた。後継者難から食品関連会社を他社に譲渡した元経営者が、社員雇用の維持などにつながったM&Aの利点や留意点を説明し、県内の企業経営者や金融関係者ら約130人が聴講した。

 セミナーでは、きな粉や各種香辛料を製造販売する向井珍味堂(大阪市)の前社長で会長の中尾敏彦さん(61)が登壇。「一人娘は社長を継ぐ意思がなく、社員への承継も自社株式の買い取り負担がネックになった」と譲渡の理由を語った。

 中尾さんは、譲渡先を決める際に最も重視したのは「自社の経営理念と社員、得意先を引き継ぐ意思があるかどうかだった」と説明。4年かけて慎重に進めた手続きを振り返り、「譲渡後3年たったが、社員は1人も辞めていない。親会社の販路を使って販売先も広がった」と語った。

 セミナーは、中小企業の譲渡や譲り受けを仲介する日本M&Aセンター(東京)が企画。三宅卓社長が成功事例を交え、秘密保持など手続き時の留意点なども説明した。

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