5月中旬の鳥栖駅周辺まちづくり検討委員会で鳥栖市が基本計画案を示した。新駅舎は駅の東西を結ぶ現自由通路「虹の橋」の南側に設け、駅西側の広場は約2・7倍に拡張。現駅舎については「現地保存は困難」とした。

 後日の会見で橋本康志市長は「駅東側の蒸気機関車と合わせて(保存活用策を)市教委が検討する」と述べた。今後はどのように保存活用して鳥栖市らしい「玄関づくり」をしていくかが問われる。

 新駅舎は線路上に改札口を設ける「橋上駅」か西口側の「2階駅」で、機能と規模は現駅舎と同程度とした。自由通路は屋根付きで、東西にそれぞれエスカレーターとエレベーターを設け、幅を現行5メートルから6メートルに広げる。しかし、改札を通って各ホームに下りる経路にはエレベーターやエスカレーターを整備するかどうかは触れられていない。財源等の問題があるにしても超高齢社会にユニバーサルデザインは必須である。

 鉄道高架化、橋上駅化の長い議論の末にたどり着いた駅周辺整備には市民の間に大きな期待があった。それからすれば非常に現実的な、身の丈に合った案とは思えるものの、やや物足りなさを感じたかもしれない。

 駅西広場は商店街への回遊拠点として鉄道やバスなどへの乗り継ぎもスムーズにできるように現在の広さ2600平方メートルを、駅東側と同じ7000平方メートルまで拡張する。広さを確保するため駅前の雑居ビル「鳥栖ビル」(地上7階・地下1階)と駐車場の敷地計約1900平方メートルを市が購入する。

 現駅舎の取り扱いについて、市は「駅西広場の広さを確保するためには現在地に残すのは無理。保存活用は市教委が検討する」と説明した。それ以上、突っ込んだ議論は行われなかったが、市長部局と市教委が密に連携して具体化を探るよう求めておきたい。

 駅東側のベストアメニティスタジアム周辺にあって駐車場として利用している公有地(5ヘクタール)は、都市型居住エリアと位置づけ、約半分を民間に売却しマンション建設などを誘導する。1000世帯2400人の人口増を見込む。

 現駅舎は築114年と九州で最も古い駅の一つ。昨年11月、市文化財保護審議会は「現地保存」を提言、駅周辺整備にも配慮し「整備事業との最善の調整」を求めていたが、市はこれまでの見解に沿った「全面保存は困難」との基本計画を示した。

 5月25日にあった6月定例議会の議案説明会見で、橋本市長は「駅の位置が決まり現地保存が難しいということは分かったので、市教委にどういうことが可能か検討してもらう」と今後の方針を示し、「できれば本年度中に明らかにしてほしい」と述べた。

 隣の久留米市のJR久留米駅前広場には、「ものづくりのまち」の象徴としてブリヂストンから寄贈された世界最大のタイヤ(直径約4メートル、重さ5トン)を、「芸術のまち」の象徴として近代洋画家・青木繁の「海の幸」などのレプリカを展示し、まちのPRに活用している。鳥栖市は鉄道の発展とともに成長し、配置売薬なども鳥栖を支えてきた。駅舎の保存活用を含め、どのように鳥栖らしさを演出するか。新しい玄関づくりに熱い気持ちで知恵を絞ってほしい。(高井誠)

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